2009年11月17日

東京ディズニーランドの功罪

<引用開始>

ディズニー・テーマパークがアメリカ大学院のMBA(経営学修士)クラスの「顧客満足」経営、顧客サービスのビジネスモデルと評価されているが、ディズニー社のマニュアルを超えたTDL方式がそこに影響していた。 
<引用終了> 

ディズニー・テーマパークの魅力−「魔法の王国」設立・運営の30年 上澤 昇元オリエンタルランド副社長著よりhttp://campus.jissen.ac.jp/seibun/contents/etext/disney/Kamisawa/fileDLD.htm 


私は講演で、日本人はオリジナルを磨き上げ、さらに良いものにする天才であると必ず申し上げています。セブン・イレブン(コンビニエンスストア)然り、ディズニーランドの運営然りです。食べ物も同様です。カレーにラーメン、パスタにサンドイッチなどは、オリジナルのもつ価値を何十倍にも高めています。

コンピュータゲームのオリジナルが何なのかは知りませんが、現在の水準まで高めた日本人の「進化させる力」はまさに世界一であると確信します。

 


これは、日本人の「繊細さ」と「勤勉さ」がなせる業であり、他民族の追随を決して許さないものです。日本人は自信を失っていますが、それは不安にさせることを仕事とするメディア等により誘導されているからであり、日本人の「世界一の進化させる力」を信じ、勇気を持って前に向かい進んで欲しいと願います。

 


さて、東京ディズニーランドの「仕事」は幸福の創造ですが、日本人の「繊細さ」と「勤勉さ」が生み出した仕事への考え方と作法が、本家のそれを上回り、今やアメリカが逆輸入して使っているのです。

 


私は、「すごいこと」であると思っています。日本人が世界のディズニーランドをさらに進化させているのですから。

 


この「すごいこと」を可能にしたのが、やはり日本人が進化させてきた思想である友愛思想です。この記事では詳しく書きませんが、友愛思想の原型は、幕末にジョン万次郎が日本にもたらしたものであり、キリスト教のユニテリアン思想が原点です。他宗教に対し排他的で独善的と言われるキリスト教ですが、ユニテリアン派の思想は、穏健であり他宗教に対しても寛容でした。

 


この穏健で寛容な友愛思想は、明治維新の志士たちや、福沢諭吉などの(本物の)有識者によりさらに進化されたと私は考えていいと思っています。そして、欧州連合(EU)を築き上げた思想の一部となり、今日の日本のリーダーである鳩山総理や小沢幹事長に引き継がれているのです。

 


東京ディズニーランドの思想も、完璧に友愛思想です。私は「最後のパレード」に以下のように書きました。

 


世界中のディズニーランドに共通する、キャスト一人ひとりの使命は「幸福の創造」です。でも一人の力ではとてもゲストたちを幸せにすることはできません。協力し合い、助け合って、はじめてこの大きな使命をなしとげることができます。まるですぐれたスポーツ選手のようです。どれだけアシストできるか、サポートできるかを、競い合っているのです。世界中のディズニーランドでは、さまざまな宗教、人種、国の人が一緒に働いていますがトラブルは一切起こりません。みんながゲストをハッピーにすることをめざして協力し合っている、そこはすでに「小さな世界」なのです。


<終了>

 


誰もが横の関係で結ばれ、共通の思想を共有する、であるからこそ、ディズニー・テーマパークでは多くの感動を生み出すことができるのです。

 


アメリカのMBAでも共有されている、日本人が進化させた友愛思想は、今や人類史上「至高の思想」といっても過言ではないと私は確信しています。

 


新聞などのメディアは、友愛思想が分かりづらく安っぽいと評していますが、残念ながらそのように発言する論者は(ディズニークリスマス・キャロルに登場した)「無知」としか言いようがありません。

 


友愛はfraternityです。この言葉には深い意味があります。

 

Fraternity

 

1 [U]兄弟関係;兄弟愛, 友愛, 同胞愛.

 

2 (())(寮生活をする男子大学生の)友愛会(Greek-letter society. SORORITY

 

3 互助会, 共済組合, 協会, 協同組合.

 

4 信徒団体, 講社;慈善団体.

 

5 ((the ))((単数・複数扱い))同業者[同好者]仲間.


<大辞泉>

 
 

つまり、地下茎で結ばれた(横の関係の)人間が、共存するために愛し合いましょうということです。日本人は、血縁者や家族だけを愛する傾向がありますが、そうではなく、血縁関係にない仲間たちも愛しましょうというのが、友愛の「核心」となる考え方です。分からないでは済まされないのです。

 


このように、東京ディズニーランドという非日常的で特別な場所で、日本人は至高な考え方を具現化してきました。今後は、日本社会という現実的な場所で、この考え方を実現して欲しいと願ってやみません。

 


次に、功罪の罪について記します。政権交代が実現し、過去の罪を清算するために書くのであり、個人を苦しめたり、組織を攻撃したりする目的ではありません。過去を忘れ、改めて欲しいだけであり、決して私憤からの告発ではないことを最初に申し上げておきます。

 


私は、ここ数年この時期になると思いだすことがあります。それは、私が在任中に所轄の運輸省(国土交通省)に持参した東京ディズニーランドのカレンダーや手帳、そしてパスポート券に関することです。

 


私には、年末にカレンダーと手帳各10部、パスポート券は20枚を横浜の運輸省に持参した経験が何度もあります。カレンダーと手帳は問題ないと思われますが、5,000円を超えるパスポート券は現金に換金できるものです。使われ方によっては「収賄」が成立する可能性もあります。

 


オリエンタルランドの担当者がチケットを持参する際には「ぜひ、視察に来て下さい」と言って渡しています。オープン当初からの慣行であり、当時はその使われ方に対し、私は何も考えていませんでした。その理由は、手心などの見返りを期待したものではなかったからです。視察に来られても何ら問題はないと誰もが自信を持っていたからです。

 


使われ方を気にしなかった理由はもう一つあります。それは、チケットを持参することは「儀式」であり、「儀式」が終了した瞬間にそのことを忘れてしまうからです。多忙な日々が続く中、持参したチケットが着券したか、誰が使ったかなど、誰の眼中にもありませんでした。

 


このように、オリエンタルランド側には、罪の意識など全くありませんでした。それでも、です。まさに「李下に冠を正さず」です。現在も続いているのなら疑われるようなことは今すぐに止めた方がいいと私は考えます。

 


なぜならば、チケットをもらった方の役人を惑わすことになるからです。惑わすこと自体がオリエンタルランド側の罪なのです。

 


役人は仕事上の視察に対し限られた時間を使用するとは考えにくいものです。とするならば、考えられるのは私的流用です。福利厚生の一環として、忘年会や新年会の景品に活用されているのであれば、さほど問題視されないでしょうが、特定の人のふところに入ってしまうのであれば、重大問題になり得ます。

 


ディズニーランドにない職業は「葬儀屋」だけだと言われます。私が居た部署だけでなく、あらゆる部署が、所轄の行政機関にチケットを届けていたとするなら、この問題は大問題に発展する可能性も否定できません。

 


私が在籍した間に、運輸省が運営を視察に来た事実は確認できません。視察の報告書も見たことがありません。

公的な使用方法ではなかったものと容易に推察されます。

 


しかしながら、前述したようにこの問題を個人レベルまで掘り下げて追及することは賢明ではありません。何のメリットもありません。長き自民党の政権下での負の遺産、過去のシステムととらえ、繰り返されてきた談合や天下りのように、今後根絶すべき問題として取り扱うべきです。

 


オリエンタルランドも行政機関も、「要求されたり」「要求したり」したことは決してありません。現在も続いているのなら直ちにこの悪習慣は止めるだけでいいのです。

 


巷では、公務員たたきが続いていますが、公務員を「前向きの姿勢」に転じさせるためには、自民党長期政権時代に犯してきた罪を許すことです。




政権交代により「主人」が変わったのですから、新しい「主人」の友愛思想により、このような「過去の問題」を解決させることが望まれるのです。