西日本新聞

福岡県

性犯罪審理に裁判員苦悩 参加する意義 認める意見も 福岡地裁判決

2009年10月25日 13:21
 「性犯罪は裁判員裁判の対象から外すべきだ」。そんな意見もある中、強制わいせつ致傷罪が審理された福岡地裁の裁判員裁判。重い現実に向き合いながらも裁判員たちは「市民参加の意義はあった」と感想を語った。選任手続きや審理では被害者を匿名にするなどプライバシー保護が徹底されたが、さらなる配慮を求める意見も出された。

 6人の裁判員の中で唯一の女性だった20代の学生は判決後の記者会見で、「一般女性としての素直な意見が反映される点がすごく大きいと思う」と前向きにとらえた。一方で「被害者にとって、裁判員に名前が知られるとか、(傍聴者にも)具体的な犯行内容が分かる点がきついと思う」との懸念も口にした。

 法廷では、被害女性が事件の状況を詳細に語った調書を女性検事が情感たっぷりに読み上げた。まるで劇を見るような一幕に、裁判員は一様に性犯罪を審理する苦悩をのぞかせた。福岡市の50代の会社員男性は「女性の体の一部を言葉として表現するのはいかがなものか。AとかBなどの表現に言い換えた方がいいのでは」と話した。

 「裁判員裁判になることを恐れ、被害を届け出られないケースも出ていると聞いている」。法廷を傍聴した性暴力被害者支援に携わる女性は言う。その一方で、今回実刑が選択されたのは「市民感覚の反映」とも感じたという。検察側が性犯罪の実態や被害者の心理状態を詳しく説明したことなども評価。「裁判の前に説明すれば事件への見方も被告への質問の仕方も変わってきたのでは。問題は多く残るが前進もある。今後も見守りたい」と振り返った。


=2009/10/24付 西日本新聞朝刊=

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