来季のJ2降格が決まっているJ1大分トリニータが大ナタを振るう。原靖強化部長は13日、来季の選手編成についてJリーグ最少規模の18―20人体制とする意向を明らかにした。現在、選手登録されているのは29人。10人前後を減らして来季に臨む方針だ。
財政難に苦しむ大分は来季の運営費を今季の22億円から半減し、そのうち選手契約などに充てる強化費も約半分の5億円前後になる見込み。原強化部長は「来季は18から20人のコンパクトな編成で、質を保つ方法でやっていく」と説明する。近年は1チームで出場選手登録30人前後が一般的なJリーグで、異例の少人数チームとなる。
リストラ候補の筆頭に挙がるのがベテラン勢だ。大幅な若返りを念頭に、30代で出場機会が少ない選手らと近日中に来季契約について話し合いが持たれる見通しだ。補強ポイントとして得点力のあるFWの獲得が挙げられているが、新外国人やレンタル移籍ではなく、大学からの新人獲得やトライアウトなどでの発掘を目指す。
背景には大分が目指すスタイルを固めたい意向もある。ポポビッチ監督就任から5カ月目で、同監督が掲げる「人もボールも動くサッカー」は徐々に浸透し、リーグ戦で最近7試合無敗と成果を見せつつある。来季は少数精鋭でプレーの質を高めて1年でのJ1復帰を果たし、さらに復帰後も迷走を避ける狙いだ。
約11億円の累積赤字に苦しみ、来季の大口スポンサーも正式契約に至っていない。それでも地方からのチャレンジを続けてきた大分は、前例のない“小さなクラブ”として新たな挑戦に乗り出す。
=2009/11/14付 西日本スポーツ=