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山口・光の母子殺害:実名本、差し止め認めず 元少年側の申請退ける--広島地裁

 99年に起きた山口県光市の母子殺害事件を巡り、当時18歳だった被告の元少年(28)を実名表記したルポルタージュ本について、広島地裁は9日、元少年側が行った出版差し止めなどの仮処分の申し立てを退けた。決定文は10日にも出版社側に届く。【寺岡俊】

 出版社はインシデンツ(東京都日野市)。著者は一橋大職員の増田美智子さん(28)。増田さんは08年8月~09年8月、元少年との面会を計25回重ね「実名でも構わない」と了解を得たと主張。少年法の禁止規定については「週刊誌報道で既に実名が出ている。世間のイメージとは違う(元少年の)実像を知ってもらうため、実名で報じるべきだ」としていた。

 一方、元少年側の弁護団長を務める本田兆司弁護士(広島弁護士会)は「少年法に基づき、実名報道は許されるものではない。本人は出版前に原稿を見せてもらって実名掲載の可否を決めるつもりだったが、原稿は見せてもらえなかったと言っている。本人は(実名掲載を)承諾してはいない」と話していた。

 元少年の弁護団は10月5日に仮処分を申し立て、出版差し止めと1100万円の損害賠償を求める訴訟も同15日付で広島地裁に起こした。本は同月初旬から販売されている。

 出版社や著者側の代理人、堀敏明弁護士(東京弁護士会)は「(決定の)内容は見ていないが、正当な結果だと思う。本の内容を見てもらえれば、少年に利益にこそなれ、不利益になるものではないと分かる」とコメントした。

 一方、本田弁護団長は「主文は『請求をいずれも却下する』だった。これ以上は話せない」としている。

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 ■ことば

 ◇光母子殺害事件

 当時18歳の元会社員が99年4月、山口県光市のアパートに入り込み、本村弥生さん(当時23歳)を絞殺して暴行。生後11カ月の長女夕夏ちゃんも殺害して、押し入れに隠した。検察側は死刑を求刑したが、山口地裁は「未熟で矯正の余地がある」として無期懲役を言い渡し、広島高裁もこれを支持。最高裁は06年6月、量刑は不当などとして高裁判決を破棄。広島高裁は08年4月の差し戻し審で「特に死刑を回避すべき事情は認められない」と判断し、求刑通り死刑を言い渡した。元少年側は上告している。

毎日新聞 2009年11月10日 東京朝刊

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