米・オバマ大統領初来日を前に同盟を揺るがすようなすれ違いが生じる理由を検証しました。
アメリカのオバマ大統領が13日、初来日します。
しかし、最大の懸案である普天間基地の移設問題は先送りされることになり、同盟を揺るがすようなすれ違いが生じるのはなぜなのか、再検証しました。
動き出した核なき世界、混迷の中で動かぬ普天間基地、オバマ大統領初来日直前、その焦点に迫った。
11日、オバマ大統領は「わたしが最高司令官である限り、アメリカは正しいことを行う」と述べた。
退役軍人の日だった来日前日、オバマ大統領は献花式に出席し、世界中に散らばる兵士の貢献をたたえた。
アメリカ軍の最高司令官であるオバマ大統領の来日。
日米最大の懸案事項である普天間基地移設問題は、首脳会談では、先送りされることになった。
日米で合意された名護市辺野古への移設を鳩山政権が先送りしていることに対し、12日、名護市長は、早期解決を求めた。
名護市の島袋市長は「普天間飛行場の危険性が、より早期に解決できる代替案が速やかに提示されるものであれば、これを歓迎するものであり」と述べた。
苦渋の決断で、辺野古への移設を容認してきた名護市長だったが、民意の高まりに配慮し、県外への移設も容認する考えを示した。
8日には、辺野古への新基地建設と、県内移設の拒否を訴える2万人もの大規模集会があった。
那覇市の翁長市長は「沖縄県民の心は、基地の整理縮小という1点で1つになることができます」と述べた。
日本にある米軍基地のおよそ75%を抱え、負担が集中する沖縄だが、県外・国外移設には大きな壁が存在する。
全国で最も失業率が高い沖縄では、名護市の商店街でもシャッターが下りた店が目立つ。
沖縄県内の完全失業者は5万3,000人にのぼり、失業率は7.9%にも達する。
全国で最悪の状態が続く沖縄では、基地の周りに英語の看板がずらりと並ぶ。
飲食店やアパレルショップ、タクシーなどのお客は、米軍関係者だという。
米軍基地で働く比嘉良偉さんは「基地は、もう経済の一部ですよね、沖縄では」と話した。
比嘉さんは、18年前から基地で施設管理の仕事をしている。
比嘉さんは「基地がない方がいいというのは、これは自分たちもここで生活していなければ、そう叫びたい部分ではありますよね。でも、ここで生活している人からすると、複雑なんですよ、もう」と話した。
軍雇用者の給与や米軍関係者による消費活動などは、沖縄だけで年2,155億円にものぼる。
しかし、代わりとなる経済基盤は、見つからないままとなっている。
一方、アメリカは、この普天間基地をどのように考えているのか。
普天間基地内を移動するヘリコプター、尾部には「MARINES」、海兵隊を意味する文字が見える。
この基地を使うアメリカ海兵隊、彼らの役割について、軍事評論家の岡部 いさく氏は「この普天間を含めて、沖縄に展開している海兵隊は第3海兵遠征軍、遠征軍というんですから、外国へ出ていって戦う戦力なんですね。アメリカが兵力を展開する場合、沖縄からですと、ハワイやグアムよりも、はるかに早い時間で展開できるわけです。アメリカの戦略的な戦力の配置のうえで、沖縄は非常に重要なんですね」と語った。
海兵隊は、自前の戦闘機なども装備し、精強な戦闘集団として知られる。
今回の移転に関して、岡部氏は「海兵隊が強いといわれるのは、これ日ごろの訓練、演習があるからですよね。つまり歩兵部隊がいて、ヘリコプター部隊がいて、そして訓練場があるという今の沖縄の状況っていうのは、これは海兵隊にとって非常に都合がいいわけです。ここからヘリコプター部隊だけ、どっかよそへ行ってしまうとなると、訓練が非常にやりにくくなるというのが、海兵隊の考えなんじゃないでしょうか」と語った。
日米間のさまざまな思わくの中で揺れ動く普天間基地問題。
12日午後6時前、鳩山首相は「最終的な結論というものをできるだけ、それは急ぎたいという思いは、私も同じように持っています」と述べた。
しかし、13日に行われる首脳会談では、突っ込んだ議論は行われず、普天間移転問題は漂流を続けることなった。
(11/13 00:19)