オバマ絶賛「松井の活躍は日米関係の象徴」ヤ軍1年契約も

2009.11.11


オバマ大統領に「日米の架け橋」と称賛された松井。ヤンキースもそう邪険にはできないはずだが…(リョウ藪下撮影)【拡大】

 日米首脳会談のため訪日を控えたバラク・オバマ米大統領(48)が10日、ヤンキースの松井秀喜外野手(35)のワールドシリーズMVPの活躍に最大限の賛辞をおくった。「彼は素晴らしい日米関係の象徴だ」と語り、ゴジラの存在を野球を超えた日米の架け橋と位置づけた。こんな大統領お墨付きの選手に対し、キャッシュマンGMは改めて「外野手としての信頼がない」とダメ出しするなど、窓際扱いしているヤンキースという球団は、いったい何様なのか?!

【ビジネスライク重視】

 オバマ大統領は10日に放送されたNHKの単独インタビューの中で、河野憲治ワシントン支局長の質問に対し、将来的に広島、長崎を訪問する考えのあることを表明した。実現すれば、現職の米大統領としては初の被爆地訪問となる。

 鳩山首相との首脳会談は「未来志向の日米関係」を念頭に行われ、日米同盟関係の強化を図る見込み。そして、オバマ大統領はインタビューの最後に、自ら松井の話題に変えて、日米首脳会談と関連づけるように活躍をたたえた。

 「感謝しなければいけないのは、ワールド・シリーズでMVPを獲得した松井だ。彼の活躍は、素晴らしい日米関係の象徴だ」。満面笑みのオバマ大統領。松井の活躍は、首脳会談にはずみをつける良好な日米関係の代名詞のように取り上げられた。

 ところが、その日米関係の象徴に対して、ヤンキースのキャッシュマンGMの冷たいことといったらない。

 あまりにもビジネスライクな扱い。シカゴで始まったGM会議初日の9日に「松井を外野手としては考えていない」と発言。さらに10日、改めて「他球団がどう考えるか知らないが、うちでは指名打者。外野手として考えていないし、その信頼はなかった」と話し、再契約した場合でも起用をDHに限定すると断言した。

 来季、外野手として完全復活を目指す松井にとっては、まさにダメ出し。「信頼がない」とまで言われてしまっては、残留したいという希望も薄れるのは無理もない。いかに、外交とスポーツは別ものとはいえ、ヤンキースとオバマ大統領の温度差には驚かされるばかりだ。

【NYポスト紙「再契約の可能性ある」】

 FA申請した松井の去就は混とんとしているが、米メディアの報道を総合すると、ヤンキースは1度は松井に残留のための条件提示をする見込み。しかし、その内容は今季年俸1300万ドル(約11億7000万円)を大幅に下回る金額での1年契約で、しかも、外野手としてではなく、DH専任、代打要員としての位置づけとなる。

 10日付のニューヨークポスト紙は、球団幹部からの情報として、他チームのFA選手を獲得する前に、FAとなった3人のベテラン選手(松井、デーモン外野手、ペティット投手)と条件が合えば、全員と1年契約を結ぶ方針だと報じた。

 さらに松井の再契約の可能性について、「デーモン外野手の代理人、スコット・ボラス氏は、交渉を引き延ばして最終的に最も金額の高いチームと契約するタイプだけに、松井との契約が先に成立する可能性はある。また、市場には有力DH候補があふれかえっており、松井もヤンキースに戻らざるを得ない選択になる可能性もある」と予想している。結局は、松井が「1年・DH専任」の提示を受け入れられればヤンキース残留、イヤなら移籍ということだ。

 大リーグは、生き馬の目を抜く世界。とはいえ、ワールドシリーズ制覇の原動力となり、大統領が褒めたたえている選手に対しても容赦ない仕打ちをするヤンキースとは、いったいどれだけ恐ろしい球団なのだろうか。ひょっとすると、日米関係に遺恨を残すことにならないか…。

【関連記事】
松井秀に在外公館長表彰 明るい人柄、真摯な態度が評価
早くも身辺整理?松井ロッカールーム“完全撤去”
NY紙では一転ゴジラ残留報道 大物FA選手不在で静観か