コンクリートの劣化や鋼材の腐食が想定外に進み、崩落寸前の状態に陥った道路橋が全国で121基あることが、国土交通省の調査でわかった。大型車の通行を禁止した重量制限付きの橋も680基確認された。大半は、橋の寿命の目安とされる50年に達していない。橋の管理者である地方自治体は財政難や技術者不足が深刻で、6割以上が補修計画も立てられない状況という。各地で緊急点検が進めば、「危険な橋」はさらに増える恐れがある。
同省道路局によると、国内には、約15万基の橋(全長15メートル以上)が整備されており、9割を都道府県や市区町村が管理している。米国・ミネアポリスの橋崩壊事故(07年8月)などをきっかけに、同省が自治体側に報告を求め、昨年4月時点で集計した。
その結果、橋脚や床板に重大事故につながりかねない亀裂や腐食が見つかり、通行が禁止された橋は121基。15メートル未満の小型橋も含めると、143基に及んでいた。地域別では、北海道・東北が約3割、関東と近畿、九州がそれぞれ約1割を占めた。さらに、通行車両の重量を25トン未満に制限する「通行規制」の対象は680基に上った。
国内の道路橋の実態を調査している「国土技術政策総合研究所」(茨城県つくば市)によると、橋の損傷は、(1)大型車などの強い荷重が繰り返しかかることで生じる「金属疲労」(2)コンクリートが膨張して鉄筋の破断を招く「アルカリ骨材反応」(3)塩害による鋼材の腐食――が主な原因。大型車の通行量が予想以上に多く、点検・補修も十分にされてこなかったことが損傷の進行を速めたとみている。