東京都の石原慎太郎知事が、20年夏季五輪の招致に再挑戦する考えを明言した。しかし、招致活動が本格化する前に任期満了で引退するともいう。「どれほど実現可能性があるのか」。五輪招致にかかわる人たちは、東京都の出方を注視している。
日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長は7日、「都知事から直接聞いたわけではないが、東京が再挑戦するのであれば歓迎すべきこと」と語った。
JOCは、来年春までに各自治体に立候補の意思表明をしてもらい、同夏には1都市に絞り込む方針だ。ただ、11年春の都知事選では五輪招致が争点になる可能性がある。都議会第1党になった民主党は再挑戦に否定的な声が多い。
この点について市原則之JOC専務理事は「競技会場の後利用などの問題が解消すれば理解は得られる」。
20年夏季五輪には広島市と長崎市が共同での立候補を検討している。市原専務理事は「都知事もマラソンなど一部競技を広島で、と発言している。IOC(国際オリンピック委員会)の規定を勘案しながら検討したい」と一部共催の可能性にも言及した。
「16年五輪招致の失敗すら総括できていない今、なぜ再挑戦を打ち出すのか」。都議会民主党幹部は7日朝、電話で今後の対応を協議。まずは招致活動費150億円の検証を優先することを確認した。ある都幹部は「都知事が前向きでも、議会の同意を得るのは大変だ」と話した。
広島市は、五輪招致検討委員会を10月31日に発足させたばかり。同市の岩崎静二文化スポーツ部長は7日、朝日新聞の取材に「我々は実現可能性を探っている状態。我々としては粛々と、速やかに検討を進めていく」。
広島、長崎両市は招致検討委の設置を発表した際、「両市ならびに志を共有する複数都市に五輪を招致する可能性を検討する」ことを目的に掲げた。