【嘉手納】「爆音に割り込まれた生活はごめんだ」「町民の声を聞いてほしい」―。７日、嘉手納町のロータリー広場で開かれた米軍普天間飛行場の嘉手納統合案に反対する町民大会には、騒音被害に苦しむ地域住民ら約２５００人（主催者発表）が結集。参加者は、嘉手納高校生徒会長の新城武士さんらの意見発表にうなずきながら、力強い賛同の拍手で爆音や事故の恐怖と隣り合わせの日常生活を拒否する強い姿勢を示した。

　嘉手納町の基地被害の現状を報告した同町議会の田崎博美議長は「統合案は爆音で厳しい生活を強いられている町民をさらに苦しめるものだ」と糾弾し、鳩山政権に対して地元の声を聞き入れるよう要望。

　町婦人連合会の嘉手川千恵子会長は「町民は米国の国家戦略のエゴによって苦しめられている。新政権は原点に戻り、アメリカオンリーではなく物を言える政府になってもらいたい」と声をからして訴えた。

　同町西区の伊禮春美自治会長（６８）は「騒音防止協定を守れ」と書かれたプラカードを持ちながら発表に聞き入った。同町に住んで約５０年。「今でもうるさいのに、ヘリの音が加わるなんて考えられない」と渋い表情。１３年前に同町で開かれた「移駐反対町民大会」にも参加したが「状況は変わっていない。こんなに土地が狭い嘉手納に基地を押しつけるのか」と強調した。

　同南区の花城スミ子さん（６７）は「衆院選では民主党に期待して投票したのに、嘉手納統合案を聞いてショックを受けた。あんなに美しい辺野古を埋め立てることにも絶対反対。県外に移設してほしい」と怒りをあらわにした。

　嘉手納に生まれ育った平良一史さん（２９）は、うるま市喜仲から駆け付けた。「基地のたらい回しの終点地が嘉手納になった」と憤る。「（騒音に）慣れもあったが、これは普通じゃない。なぜ苦痛を受けないといけないのか」と話した。

　友達と参加した嘉手納中学校１年の岸本篤哉君（１２）は「飛行場から聞こえるエンジン音で授業中、先生の声が聞こえない。いつ自分たちの所に飛行機が落ちてくるか分からない」と不安を口にしながら「嘉手納だけじゃなくて、日本から基地をなくしてほしい」と切実に訴えた。

提案自体悲しい
高校生徒会長　新城武士さん意見要旨

　僕の生活にあの爆音は勝手に割り込んできた。耳の奥まで突き刺さるような爆音。体の中まで振動が伝わってくる爆音。生まれ育った町、嘉手納町では爆音が毎日、何度も生活の中に勝手に割り込む。

　子どもたちが爆音におびえ泣いている姿を見る。僕も小さいときはあのようにおびえ泣いていたのか。いつから暗黙の了解のように、過ぎ去るのをじっと待つようになったのか。思い出そうとしても分からない。

　僕が爆音や基地について考えている瞬間も、またあの音がやってきた。普天間基地嘉手納統合案、絶対に許さない。嘉手納を基地のない町にすることが僕の願い。

　大きな事を望んでいるわけではない。普通に授業が受けたい、部活動がしたい、静かな嘉手納町で生活したい。嘉手納町民をもっと苦しめるような統合案が提案されたこと自体、悲しいこと。許すことはできない。これ以上、僕たちを苦しめないでください。