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追跡京都2009:舞鶴市の公的病院再編 規模スリム化、事業費も減額 /京都

 ◇政権交代で情勢一変、相次ぎ計画変更

 ◇再編の3病院、利害調整もこれから

 医師不足などで崩壊の危機にある地域医療立て直しのため、舞鶴市で計画されている公的病院再編が、鳩山政権の予算見直しの影響も受け、相次いで計画変更を余儀なくされている。急展開が続いた今秋の動きを追った。【珍田礼一郎】

 ■共済病院脱退

 元々の再編計画は、市立舞鶴市民病院▽国立病院機構の舞鶴医療センター▽日本赤十字社の舞鶴赤十字病院▽国家公務員共済組合連合会の舞鶴共済病院--の設置母体の異なる4病院を一つの組織にまとめるというもの。

 ところが9月28日の協議で、常勤医40人を抱える市内最大規模の共済病院が「脱退」を表明した。同病院は脳神経外科などの常勤医が不足する一方で、心血管外科や産婦人科などは充実。医師の集団退職などの影響を引きずり市から年間約20億円を超える赤字補てんを受ける市民病院に対して、経営は黒字だ。

 多々見良三・共済病院院長は「今の姿で新病院と連携することが地域の利益になる」と強調。大学医局の混在であつれきが生じかねないことなどを理由に、「市には東京の本部の理解が得られないことを何度も言ってきた」と話した。

 ■交付金見直し

 さらなる「激震」は、鳩山政権の補正予算見直しだった。麻生政権が経済対策で、地域医療再編に100億円を補助する臨時特例交付金を設置。市は「設置母体の異なる再編は全国モデルになる」と交付を確実視し、再編の追い風になると期待した。

 しかし、政権交代で情勢は一変。補正予算は一部執行停止になり、先月、交付金は25億円に減額されることが決まった。

 市は病院規模のスリム化を図り、当初想定した総事業費120億円余りから医療機器、建設費などで30億円以上を削り90億円とした。

 しかし、25億円の支給が決まったとしても、残る60億円を超える事業費をどう捻出(ねんしゅつ)するのか、妙案はない。現状では病院側からの出資は望めず、市債発行や国や府への助成金要望が選択肢に上がる。

 先月末の市議会でも資金面で質問が相次ぎ、市は「医療施設や設備に国庫から、2分の1から3分の1を補助する制度がある」などと答弁したが、市の大幅な負担増は避けられそうにない。

 ■東西問題

 再編する3病院の利害調整もこれからだ。

 「東地区に新病院ができると、共済病院とともに大病院が東に集中する」。赤十字病院の弘中武院長が先月の協議で懸念の声を上げた。

 舞鶴は東西に市街地が分かれているが、市の構想は、東に2次救急医療以上の機能を持つ400床の急性期基幹病院、西に100~150床の慢性期サテライト病院を設けるとしている。

 西地区にある赤十字病院は、医療機関の東西バランスや福知山、綾部両市との連携の取りやすさから、西に基幹病院を置くべきだと主張する。一方、市側は共済病院との連携や、東地区5万人、西地区4万人の人口比を説明。東地区にある医療センターの平野伸二院長も「これが最もいい形と議論の上決まった」と市に賛同する。

   ×  ×

 医療関係労組などでつくる「舞鶴地方・京都北部地域医療実態調査実行委」(団長・牧野忠康日本福祉大大学院教授)は今月4、5の両日、府北部の医療機関や老人クラブなど約40カ所で医療ニーズの聞き取り調査を実施した。実行委は「再編計画や趣旨が市民に十分浸透していないことが分かった」とし、変更が続く再編計画について「より広域的で細やかな説明の場が必要」と指摘する。

毎日新聞 2009年11月8日 地方版

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