【エルサレム前田英司】ロイター通信によると、イスラエルの占領地ヨルダン川西岸中部の村ニリンで6日、イスラエルが建設した「分離壁」の一部をパレスチナ人の若者らが破った。現地では壁に抗議するデモがあり、参加者は89年11月の「ベルリンの壁」崩壊にちなんで「どんなに高い壁も必ず倒れる」と訴えた。
分離壁は、イスラエルが「テロリストの侵入阻止」を名目に自国領と西岸を分断する形で02年から建設。壁のルートは、本来はパレスチナ自治区である西岸内に大きく食い込んでおり、国際司法裁判所は04年、「国際法違反」と判断している。
この日は覆面姿の若者らが車用のジャッキを使い、高さ約6メートルのコンクリート壁を傾かせた。壁によじ登って倒そうとしたが、イスラエル治安部隊が現場に急行して催涙弾などを発射したため、完全には倒壊しなかった。
毎日新聞 2009年11月7日 19時37分(最終更新 11月7日 22時19分)