最終更新: 2009/11/07 03:40

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パレスチナ・ガザで子どもたちが戦争で負った心の傷が社会問題化しています。

パレスチナ・ガザで、戦争で子どもたちが目の前で肉親を失うなど、心に負った傷は癒えることなく、社会問題化しています。

イスラエルの攻撃から10カ月余り、今もがれきの山が目立つパレスチナ・ガザ。
がれきの山が家だったころの主人、ハレド・アベドラボさん。
ハレドさんは「殺された娘のズボンを見つけて、娘を思い出してしまいました」と話した。
ハレドさんは、家を壊されただけではない。
2人の幼い娘はハレドさんの目の前でイスラエル兵に殺された。
ハレドさんは「家族で家にいたら、イスラエル軍が外へ出ろとマイクでどなっていました。みんなで白旗をあげて出て行きました」と当時の状況を語った。
家族で外へ出て10分後、1人のイスラエル兵が突然、一家に向けて銃を乱射した。
7歳のスアドと2歳のアマルが射殺されたという。
ハレドさんは「倒れたアマルを見ると、内臓が外にあふれ出していました」と話した。
ガザでは10カ月余り前の攻撃によって、1,400人以上が死亡した。
そのうち6割を超える900人以上が民間人だったとされる。
目の前で家族の死に遭遇した住民は数え切れないという。
そして今、ガザではさらに大きな問題が表面化していた。
それは攻撃のさなか、異常な、そして残酷な光景を目にした子どもたちの精神的ダメージの問題。
パレスチナ・トラウマ・センターのアブドゥル・アクニナダー氏は「症状として現れるのは、まず失禁です。そして、突然理由もないのにおびえだし、パニックになります。それから過度な攻撃性や学習能力の低下などです」と話した。
このパレスチナ・トラウマ・センターで心理ケアのプログラムに参加するタイーマ・ナシュアドさん(12)。
家に攻撃を受け、近所を逃げ回る途中、顔見知りの遺体や負傷者などを多数目撃したという。
タイーマさんは「次の日のテスト勉強をしようと教科書を開くと、F16戦闘機の音が聞こえてきたんです。そして爆弾の音が聞こえてきました」と話した。
当時の状況を聞いていたその時、大きなトラックの排気音に、攻撃を受けた記憶がよみがえったのか、タイーマさんはおびえたような表情を見せた。
さまざまな問題の中でも深刻なのは、家族の死に直面したケースだという。
スタッフが心配するのが、8歳の少年、マフムード・スーシ君。
マフムード君は、自宅から離れられなくなってしまったという。
カウンセラーのイマッド・アルヘロ氏は「この子のお父さんも殺されました。イスラエルの攻撃で殺されました」と話した。
近所の人とお茶を飲んでいた父親は、家の前でイスラエル軍から突然、2発のロケットと銃弾による攻撃を受けた。
マフムード君は「撃たれたお父さんを、お母さんとお兄ちゃんが家に運んだんだ。お兄ちゃんが、『救急車』って叫んだけど、来なかったんだ」と話した。
亡くなった父、イスマイルさんは、末っ子だったマフムードをかわいがり、よくバイクの後ろに乗せていたという。
マフムード君は「どうしてみんなは撃たれたの? どうしてお父さんは撃たれたの?」と話した。
大好きだった父はもういない。
その理由と現実をいまだに受け入れられないマフムード君。
将来何になりたいか聞かれ、マフムード君は「大きくなったらお医者さんになりたい。病気で死にそうになっている人を治療したいんだ」と話した。
父親の悲惨な最期をみとった少年が今描ける精いっぱいの夢。
残酷な体験にさいなまれる子どもたちの瞳に、輝きが戻るのはいつなのか。

(11/07 02:13)


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