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佐賀・玄海原発プルサーマル計画:国内初、始動 来月2日から営業運転

 九州電力玄海原子力発電所3号機(佐賀県玄海町、118万キロワット)が5日午前、起動し国内初のプルサーマル発電に向けた一歩を踏み出した。同日深夜にも核分裂の連鎖反応が一定になる臨界に達する見込み。9日に発電を開始して試運転を始め、12月2日から営業運転が始まる。

 九電によると、原子炉の起動は午前11時、核分裂を抑える制御棒の引き抜きで始まった。発電開始後は、出力を段階的に上げ、機器の状態を検査する。

 プルサーマルは通常の軽水炉でMOX燃料を燃やす発電方式。玄海原発3号機は193体の燃料集合体のうち、16体にMOX燃料を使っている。

 ■解説

 ◇「見切り発車」 安全性に課題

 国内で初めてプルトニウムを本格商業利用する「プルサーマル発電」の開始準備が大詰めを迎えた。先行した電力会社の不祥事続きで当初予定から10年以上遅れ、ようやく始まる日本のプルサーマル計画の試金石となる。

 MOX燃料は、核分裂で生じるガスが通常より多く、燃料の破損・漏えいの危険があるほか、緊急時に出力を落とす制御棒の効きが悪いとされる。

 九電は「通常の燃料と燃え方は同じ」と説明する一方、破損確認のため原子炉水のヨウ素濃度の計測回数を増やすなど安全対策を取る。また、使用済み燃料は通常に比べて高温状態が長く続くため取り扱いが難しい。さらに保管場所は何も決まっておらず、処理技術も開発されていない。

 安全上の課題を抱えた中での「見切り発車」は、ウラン燃料使用で生じたプルトニウムを使い尽くし、国際的に核保有への疑惑を払しょくする必要があるためだ。一方で燃料輸入時の核テロや高コスト化にも懸念の声がある。【山田大輔】

毎日新聞 2009年11月5日 東京夕刊

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