以前、勤務した丹後には通学に片道1時間以上かかる山の小学校があった。帰りは倍以上。歩きながら道草をくうからだ。秋の山道はアケビなど木の実がいっぱい。時間がたつのを忘れて遊んでいたのだろう。町に移住する時、「私がいなくなると山が泣く」と書いた女の子もその一人だった。
こちらで小学校の校長さんにその話をしたら、「そんな環境で育った子は理科が伸びる」と言われたが、意外ではなかった。目当ての実を探すには、日当たりや林の中か縁かなどを観察して知っておく必要がある。幼くても「科学の方法」だ。
先日、田舎の兄が「こっちでも子供は道草して成長すると言う」と、同じことを言っていた。(栗栖)
毎日新聞 2009年11月5日 地方版