鳩山内閣が人事院の人事官に江利川毅・前厚生労働事務次官を起用する国会同意人事案を示したことについて、与野党からは4日、斎藤次郎・元大蔵事務次官の日本郵政社長就任に次ぐ大物官僚の起用だとする疑問の声が相次いだ。
自民党の大島理森幹事長は「政府が(天下りを)あっせんどころか自分で任命している。日本郵政も(同様だ)。明快なマニフェスト違反だ」と記者団に強調した。
みんなの党の渡辺喜美代表は衆院予算委員会で、江利川氏の前任の谷公士・前人事院総裁が元郵政事務次官で、公務員制度改革に抵抗した点を指摘。「後任がまた次官。鳩山内閣は公務員制度改革の優先順位が低い」と批判した。
与党内からも不安の声があがる。国民新党幹部は江利川氏が7月まで次官だったことについて「(次官退職から14年の)斎藤次郎の時の『時効論』を使えない。また内閣支持率が下がる」と語った。
一方、民主党の山岡賢次国会対策委員長は、08年に谷氏を人事官に再任する案に賛成した経緯を振り返って「(所属した)役所の代弁者でなく、本人の人物、識見を評価した」と述べ、今回も容認する姿勢を示した。