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国内初のプルサーマル試運転、5日開始 九電・玄海原発

2009年11月4日18時29分

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写真:プルサーマルが始まる玄海原発3号機=10月16日、佐賀県玄海町、朝日新聞社ヘリから、森下東樹撮影プルサーマルが始まる玄海原発3号機=10月16日、佐賀県玄海町、朝日新聞社ヘリから、森下東樹撮影

写真:5日からのプルサーマル試運転が発表された玄海原発=4日午後4時42分、佐賀県玄海町、朝日新聞社ヘリから、柏木和彦撮影5日からのプルサーマル試運転が発表された玄海原発=4日午後4時42分、佐賀県玄海町、朝日新聞社ヘリから、柏木和彦撮影

写真:クレーンで原子炉内に沈められるMOX燃料(中央の細長い黒い棒)=10月15日、佐賀県玄海町の九州電力玄海原子力発電所(九電提供)クレーンで原子炉内に沈められるMOX燃料(中央の細長い黒い棒)=10月15日、佐賀県玄海町の九州電力玄海原子力発電所(九電提供)

図:  拡大  

 九州電力は4日、使用済み核燃料から取り出した核物質プルトニウムを燃料として再利用するプルサーマルの試運転を、佐賀県の玄海原発3号機で5日から始めると発表した。商業用原子炉でのプルサーマル発電は国内で初めて。先行していた東京電力と関西電力で不祥事やトラブルがあって足踏み状態が続いたが、当初予定より10年遅れでようやく本格的に動き出す。

 プルサーマルで使うプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料は、九電の川内原発(鹿児島県)と玄海原発の使用済み核燃料をフランスで再処理して製造した。16体が10月中旬、定期検査中の同3号機に装填(そうてん)された。

 九電によると、5日午前中に3号機の原子炉を起動し、同日中には核分裂が連続して起こる臨界に達する見込み。9日には発電タービンと接続して電力を供給できる調整運転に入る。そして12月2日には定期検査を終え、通常の営業運転に移行する予定だ。

 プルサーマルは、原発の燃料のウランを輸入に頼っていることを受け、使用済み核燃料のなかに生じた核物質プルトニウムをそのまま捨てるのではなく、燃料として再利用する「核燃料サイクル」の柱。97年に国がプルサーマル計画を閣議決定した。

 東電と関電が先陣を切って動き始めたが、99年に関電が輸入したMOX燃料のデータ改ざんが発覚。東電でも02年に機器トラブル隠しが明るみに出て地元が計画の了解を撤回するなどしたため、手続きを順調に進めていた九電が先頭で実施することになった。

 プルサーマル発電は、四国電力の伊方原発3号機(愛媛県)で来年2月、中部電力の浜岡原発4号機(静岡県)でも来年夏ごろから予定している。電気事業連合会は「遅くとも15年度までに全国の16〜18基で実施する」としている。

 ただし、使用済みMOX燃料の処理策については「10年度から検討を始める」としか決まっておらず、「見切り発車」の形になっている。(福島慎吾、渡辺淳基)

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