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◆診療報酬ってどう決まるの?
なるほドリ 診療報酬改定の議論が始まったと報道されていたね。診療報酬は「医師の収入」だそうだけど、誰が支払うの?
記者 診療報酬は、公的医療保険の保険者から医療機関に支払われる報酬のことです。病院や診療所は、患者が窓口で直接支払うお金だけでなく、皆さんの保険料を集めている「保険者」からも報酬を受け取っています。保険者とは、自営業の人らが加入する国民健康保険、大企業の従業員だと健康保険組合、公務員なら共済組合です。
Q 保険者は、どうやって支払う金額を決めているの?
A 薬の値段や検査費、初診料や入院基本料などの診療費は、公定の単価が決まっていて、1点10円の点数で示されます。治療ごとの点数をすべて積み上げたものが医療機関の収入となり、全部で1000点なら収入は1万円です。この場合、医療機関は保険者から7000円を受け取り、残りの3000円を患者から窓口で徴収します。これが患者の「3割負担」です。保険者からのお金は保険料と税が財源です。
Q 点数はどうやって決めているの?
A まず、物価や医療機関の経営状態を見ながら、診療報酬の総額を左右する全体の改定率を決めます。約34兆円の国民医療費に対し、何%増減させるかを年末の予算編成時に確定し、その後、各治療行為の単価を決定します。これが診療報酬改定で、ほぼ2年に1度やります。
Q 誰が決めるの?
A 何点を配分するかという専門的なことは、厚生労働相の諮問機関「中央社会保険医療協議会」(中医協)から聞いた意見に基づき、厚労省が決めています。一方、全体の改定率は、自民党政権時代は厚生族議員らが日本医師会(日医)などと水面下で調整して決まることが多かったですね。
Q 政権交代で変わるのかな。
A 長妻昭厚労相は、中医協の中で「最も発言力が強い」とされていた3人の日医代表を全員排除しました。日医は開業医の意向を代弁しがちで、病院勤務医の待遇改善が進まないと判断したためです。民主党は、改定の基本方針や改定率を、厚労相直属のチームで事前に決めることも検討しています。そうなれば、中医協などの役割は小さくなるでしょうね。(政治部)
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毎日新聞 2009年11月4日 東京朝刊