今年も3日に叙勲の受章者が発表された。毎年春と秋に名簿を見る度に思うのは、官尊民卑の傾向がなかなか変わらないということだ。
小泉純一郎元首相の秘書官だった飯島勲さんは、ある市の助役に「叙勲の推薦をちらつかせたら、誰でも言うことを聞くよ」と助言していた。等級を上げるために、政治家が動くことも珍しくなかった。
一方で、かつて叙勲の受章を打診され、「一等とか二等とか、人間に差を付けるべきじゃない」と断った元知事がいた。その後、叙勲の見直しで、等級の数字表示は廃止されたが、官民格差、男女格差は相変わらずだ。決め方や基準もそろそろ変えてはどうかと思う。(坂口)
毎日新聞 2009年11月3日 地方版