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普天間移転:現行計画に「反対」67%…沖縄・世論調査

沖縄県民を対象に実施した世論調査の結果
沖縄県民を対象に実施した世論調査の結果

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題を巡り、毎日新聞は10月31日と11月1日の両日、琉球新報と合同で沖縄県民を対象に世論調査を実施した。キャンプ・シュワブ沿岸部(同県名護市辺野古)へ移設する現行計画については反対が67%を占め、賛成の20%を大きく上回った。鳩山由紀夫首相はどうすべきかを聞いたところ「県外か国外への移設を目指して米国と交渉すべきだ」との回答が70%を占め、鳩山首相が衆院選で公約した「県外・国外移設」を求める声が県民の大勢であることを示した。

 沖縄県の仲井真弘多知事は現行計画の沖合移動を求めてきたが、「沖合移動を実現させるべきだ」との回答は13%。「県内で別の移設先を探すべきだ」の7%、「現在の計画を認めるべきだ」の5%と合わせた県内移設容認派は25%にとどまった。仲井真知事も名護市の島袋吉和市長も日米両政府の合意を前提に県内移設を容認する姿勢を示してきたが、鳩山政権の発足で計画の見直しを期待する声が高まっていることがうかがわれる。

 ただ、米側はあくまでキャンプ・シュワブ沿岸部への移設実現を求める構え。これに対し鳩山政権内の意見は割れており、岡田克也外相は米軍嘉手納基地(同県嘉手納町など)への統合を検討する発言を繰り返している。世論調査では嘉手納統合案についても質問。反対が72%に上り、賛成は15%だった。

 普天間飛行場について日米両政府が06年に合意した在日米軍再編のロードマップ(行程表)では、1800メートルの滑走路2本を持つ代替施設をキャンプ・シュワブ沿岸部に建設し、14年までに移設を終えることになっている。【西田進一郎】

 ◇調査の方法 10月31日、11月1日の2日間、沖縄県の有権者を対象にコンピューターで無作為に選んだ電話番号を使うRDD法で調査し、1015人の回答を得た。

 ◇解説 県民の期待重く

 世論調査結果には、県外移設を掲げて衆院選に臨んだ鳩山首相への沖縄県民の強い期待が表れている。単純な比較はできないものの、過去のデータに照らして県民の県外移設志向が強まっている傾向にあるからだ。鳩山首相は県民の期待を重く受け止めるべきだ。

 96年の日米合意を起点に動き出した普天間移設は、98年の知事選で県内移設を容認した稲嶺恵一氏が当選して加速。名護市辺野古沖が移設候補地と内定していた99年11月の毎日新聞などの調査では、県内移設を「容認する」が45.7%で、「容認できない」は44.1%と拮抗(きっこう)していた。

 ところが移設作業は反対運動や台風などで進まず、05年の米軍再編中間報告で、沖縄の同意を得ないまま辺野古沖案より集落に近いキャンプ・シュワブ沿岸部への移設に変更された。この移設案に対する是非を最大の争点にした06年11月の知事選時の調査では「県外、海外への移設」は60%に達した。

 知事選では県内移設を容認した仲井真弘多知事が当選したが、これは時の政権が辺野古移設に強硬な姿勢を変えない中、基地の整理縮小への希望と、政府との協調による経済振興への願いが複雑に絡み合った沖縄の実情が映し出された結果とみるべきだろう。

 今回はこれまでと違い、県外移設を主張した政党が初めて政権党となり、中央による県内移設のくびきから解き放たれた状況下での調査。結果に県民の思いが素直に出たとも言えそうだ。【三森輝久】

毎日新聞 2009年11月2日 20時41分(最終更新 11月2日 22時39分)

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