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【底流】百貨店 覇権かけ「大阪最終決戦」

2009/11/2

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 ■2011年進出の伊勢丹 迎え撃つ高島屋

建設が進むJR大阪三越伊勢丹が入る駅ビル(右)と増床工事中の阪急百貨店梅田本店。下は同店の1期工事リニューアルオープンに詰めかける買い物客=大阪・梅田
建設が進むJR大阪三越伊勢丹が入る駅ビル(右)と増床工事中の阪急百貨店梅田本店。下は同店の1期工事リニューアルオープンに詰めかける買い物客=大阪・梅田

 「新宿と北海道の仇(あだ)は大阪で討つ」。百貨店業界で強烈なライバル関係にある高島屋と伊勢丹による盟主をかけた“大阪最終決戦”が幕を開ける。高島屋は、伊勢丹の本拠地で仕掛けた“新宿戦争”に続き、北海道の老舗、丸井今井の争奪戦でも敗れた。今度は2011年に三越伊勢丹が高島屋の本拠地の大阪に乗り込んでくる。高島屋は同年に経営統合する阪急阪神百貨店を傘下に持つH2Oリテイリングとともに各店の増床を着々と進め、返り討ちにする構えだ。

 ◆謙遜の裏で必勝態勢

 「名乗りを上げるなんておこがましい。地域1、2番店どころか3番店にもならないですよ」

 伊勢丹幹部は、こう謙遜(けんそん)する。

 同社と三越を傘下に持つ三越伊勢丹ホールディングスが、JR西日本と共同で大阪・キタにオープンする「JR大阪三越伊勢丹」。もともと三越単独で出店する計画だったが、昨年の経営統合後に伊勢丹主導に変更された。


 売り場面積は約5万平方メートルで、梅田地区の百貨店では4、5番目。新宿本店メンズ館の成功などで全国区の知名度を獲得した伊勢丹だが、関西人にはなじみが薄い。名門の三越ブランドも、かつての威光は期待できない。

 それでも、高島屋の鈴木弘治社長は「伊勢丹のマーチャン・ダイジング(商品政策)力は業界ナンバーワン」と警戒を怠らない。

 大阪駅に隣接する絶好のロケーションを生かし、「関西だけでなく、中国や四国地方から“伊勢丹ファッション”を求める客が集まるのでは」(業界関係者)との声も聞かれる。

 しかも「伊勢丹と三越の強みを融合させた統合の象徴」(伊勢丹幹部)と位置づけており、必勝態勢を敷いて大阪に乗り込んでくるのは確実だ。

 ◆キタとミナミで挟撃

 9月3日に第1期建て替え工事を終え、オープンしたキタで売り上げトップの阪急百貨店梅田本店。開店前には約3000人の行列ができた。

 お目当ては、ミシェル・オバマ米大統領夫人が就任式後のパーティーで着用し一躍注目を集めた「ジェイソン・ウー」やエリザベス女王も愛用する高級婦人靴「ロジェ・ヴィヴィエ」など国内や関西で初出店となる海外ブランドだ。

 「放っておくと、三越伊勢丹に取られてしまう」。阪急百貨店の担当者は、対抗心を隠さない。

 高島屋も、着々と迎撃態勢を整えている。

 ミナミの難波でトップの高島屋大阪店では増床が進行中で、来年3月に新館がオープンし、売り場面積は現在の約5.6万平方メートルから7万平方メートル超に広がる。本館も順次改修し11年春に全面開業する段取りだ。

 経営統合によりキタとミナミの「1番店」を擁する“大阪最強連合”が誕生。業界では「にらまれるのを嫌い、取引先が三越伊勢丹への出店に及び腰になる」(関係者)ともささやかれている。

 高島屋には、三越伊勢丹以上に負けられない理由がある。1996年に伊勢丹の牙城である新宿に出店したが、1番店の伊勢丹本店どころか、小田急、京王百貨店にも及ばない4番店に甘んじており、敗北を喫した。

 敗因は「伊勢丹に遠慮したのか、有力なブランドが集まらなかったため」(同)といわれており、逆の立場となる大阪は絶好の雪辱のチャンスだ。

 今年1月に破綻(はたん)した丸井今井をめぐっては、伊勢丹が資本業務提携していたにもかかわらず、高島屋が横やりを入れる形でスポンサーに名乗りを上げた。高島屋の参戦で、「三越伊勢丹は高値づかみをさせられた」(同)との見方もあるが、鈴木社長は「北海道民から最も親しまれている百貨店。今でも残念だ」と素直に敗北を認める。

 再編レースでは、伊勢丹が三越との統合で先行し、高島屋は業界3位に転落。しかし、再編消極論者とみられていた鈴木社長が一転してH2Oとの統合に動いたことで、再び業界トップに返り咲く。

 鈴木社長と、伊勢丹前社長である三越伊勢丹HDの武藤信一会長は慶応大学経済学部の同期。「互いに相当意識している」(業界関係者)というライバル心も、両社の攻防をヒートアップさせる原因となっているようだ。

 大手百貨店は再編で4グループに集約されたが、消費不振に加え顧客離れによる構造的な百貨店不況が深刻化する中、さらなる淘汰(とうた)を予想する声は根強い。

 大阪決戦は、サバイバルレースを勝ち残る上でも大きな意味を持つ。(小熊敦郎)

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