その後、なんとかFと合流し、満足感いっぱいで、宿のとってある広島駅まで、運よく座って帰れたわけなんだが。
正直に言うと。
飲み過ぎでぶったおれたことは、「会社員の時の社員旅行で、社長に『わんこウイスキー』を無理矢理飲まされた時」以外、ない。ウイスキーだけが体質にあんまり合わないらしいのだ。
他、ウォッカ、テキーラ、焼酎、ビール、なんでもござれで、自慢出来ることではないが、「12時間連続飲み会」なんてのも、何百回も経験がある。
なのに、寄る年波のせいなのか、この夏にホットヨガなんぞを始めてデトックスをしてしまったせいなのか……。
肝臓、撃沈……。
酔っている間は良かったのだが、宿でバッタリ、記憶を失った。
Fによると「変ないびきをかきながら、2時間、昏倒してた」らしい。
その後、オレンジジュースが欲しくなり、コンビニに走って、オレンジジュースを馬鹿みたいに買って、飲んだ。何故にオレンジジュースなのか、自分でも分からない。日本酒の飲み過ぎに効くのか?
午後8時頃になんとか復活し、夕食は、「900種試飲の広場」でからんできた人に教えてもらった、「安くて美味しいフグ屋さん」に行ってみた。下関直送のフグであった。さばきたての身は神経が生きていて、切り身のくせにプルプル動いた。おお新鮮、でも食べるよゴメンネ、と思いながら鍋に投入。
もうお酒が飲める状態ではなかったので、やはりオレンジジュースをオーダーした。広島まで行って、下関のフグ食って、オレンジジュースを飲む……って、いま考えると「何やってんだ」って感じではある。でもそこのフグは安くておいしく、観光居酒屋でボラれるよりも、ずっと居心地が良かった。からんできた女性に感謝、だ。
フグを食べながら、Fと反省会。
「あんなものすごいフェス……、下準備が必要だったね」
「いや、でもさあ、サイトにはそんなに詳しく情報が載ってなかったじゃん、900種試飲出来るなんて…」
「しかも、当日まで、パンフレットが貰えないから、どれ飲もうかとか、事前準備出来ないよね」
「でも、あれだけ別の品種を飲む機会ってそうそう無いから、自分が『あ、純米より大吟醸が好き』とか分かって、良かったかなあ」
「そうそう、たくさん飲みたおすと、好みの傾向は分かったねえ。ああいうフェス、東京でもやってくれないかなあ、代々木公園でとか」
「東京でやったら大混乱だと思うよー、チケットも即完売だろうし。そもそも1300円で1日中飲み放題ってのはムリだな」
「試飲会自体は、いろんなところでやってるんだよねえ。でも、ひらかれた、街ぐるみのお祭りとしてやるところは、あんまりないよね」
「広島の酒の町、だからこそ出来るんだよなあ」
「そうね。……しかし、発泡してる若い酒って美味しいよなあ」
「また度数が高いよね、飲みやすいくせに」
「ポン酒試飲は、ちょっとづつ飲んでいくうちにグロッキーになる、って本当だったなあ」
「あと大人数で来たほうが良かったんじゃない。ちゃんとレジャーシートひいてさ」
「試飲し放題のところに一日いたら、死んじゃうと思うけどねえ。日本酒飲んで、日光浴びて…。あー、あと、フェスTシャツは、買おうと思った時に買わないと駄目だねえ。欲しい種類が無くなっちゃう」
「あとやっぱり、ウコンって効くわ」
「ウコンは大事だよ」
「私も飲んでおけば良かった。甘くみていたよ、酒まつりを!」 |