母子保健の発展に尽くした人を表彰する「第31回母子保健奨励賞」(毎日新聞社など後援)の受賞者が発表され、保健師で筑西市役所子育て支援センター係長を務める児玉祐子さん(48)が母子保健奨励賞を受賞した。性教育を通じて命の重みを伝えてきた児玉さんに、母子保健への思いを聞いた。
児玉さんら保健師が筑西市(旧下館市)で性教育を始めたのは97年。世代に合わせた出張授業を幼稚園、小・中・高校で実施した。高校生の長男がいる教室で授業をしたこともある。
性教育を巡っては、親世代の抵抗感は根強く、児玉さんが性教育を始めた当初も「うちでやられては困る」と学校側から断られたこともあった。しかし児玉さんは「過激な映像や言葉を使わなくても、こちらの意図は伝わる」と必要性を唱えてきた。
小学3年生で「出産シーン」を見せる。上級生になると「照れ」が出てしまうため、素直に受け入れる小3が最適な年代だという。
「親を親に育てる」との思いから保護者教育にも力を入れる。「子どもを信じ、正しい知識を早く伝えることが大切です」と話す。
児玉さんにとって、性教育の授業は、子供たちの成長を確認する場でもある。子育ての相談にのった母親から「うちの子、こんなに大きくなったんです」と声をかけられる瞬間がうれしい。家庭と行政の密なつながりは、「小さい市だからできることなのかもしれません」と誇らしげにほほえんだ。【山内真弓】
毎日新聞 2009年10月31日 地方版