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シベリア抑留損賠訴訟:原告側が全面敗訴 京都地裁判決

 第二次世界大戦後、シベリアに抑留されたのは国の責任だとして、旧日本兵57人が国に1人1100万円の損害賠償を求めた訴訟で、京都地裁は28日、「国による遺棄行為は認められない」として請求を棄却した。吉川慎一裁判長は「被害は深刻、重大で労苦に報いるところがなく、原告が次々亡くなる異例の状況にある」と配慮を見せたが、国が補償立法をしないこと(不作為)については「政治的解決を待つべきで、違法性はない」とした。原告らは控訴する方針。

 同種の集団訴訟として全国で4例目。原告らは11都府県在住の80~91歳で、07年12月から5次にわたって提訴し、裁判中に5人が亡くなった。

 判決は、いずれも被抑留者の敗訴が確定した過去3回の最高裁判例をほぼ踏襲。原告側が関東軍総司令部からソ連への役務提供の申し出と指摘した「ワシレフスキー元帥に対する報告」について、「食料や防寒の配慮を希望しており、将兵を引き渡すものではない」とし、遺棄行為の証拠と認めなかった。

 また、国が帰国に向けたソ連との交渉などの義務を怠ったとする原告側の主張を全面的に退け、「早期帰国のための活動を行った」と認定。「国際法を無視したソ連に第一義的責任がある」と述べた。

 村井豊明・原告弁護団長は「不当な判決。政治的解決も求めていく」と話し、外務省ロシア課は「政府の主張が認められた」としている。

          ◇    ◇

 全面敗訴と言える判決に、平均年齢85歳の原告や支援者らは落胆を隠せなかった。判決前日の27日にも原告1人が死亡しており、「残された時間は長くない」と焦りばかりが募る。

 判決後の集会で、原告団長の林明治さん(84)は「司法の場にも『棄兵棄民』の精神が脈々とある。粉砕しなければ日本の未来はない。不当な判決をもらったが、階段の一歩だ」と語った。【熊谷豪、広瀬登】

毎日新聞 2009年10月28日 21時46分

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