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中国人研修:時給350円、トイレ分は休憩減 5女性申告

集会で過酷な労働実態を訴えた中国人女性=長崎市で2009年10月25日、阿部弘賢撮影
集会で過酷な労働実態を訴えた中国人女性=長崎市で2009年10月25日、阿部弘賢撮影

 長崎県・島原半島内の女性下着縫製会社で働く中国人女性5人が、時給350~400円で残業させられているなどとして、島原労働基準監督署に労働基準法違反の申告をした。「トイレに行くと休憩時間から引かれた」などとも訴えている。申告を受け、同労基署は労働実態調査に乗り出した。同社の社長(62)は「労基署が調べているのでコメントできない」としている。

 外国人研修・技能実習制度により、06年12月~07年12月に入国した21~27歳の中国人女性。今月21日に申告した。

 申告などによると、同社は時給350~400円で多い月は1カ月に209時間、年間約2000時間の残業をさせたとしている。労基法は時間外勤務について賃金の1.25~1.6倍の割り増しを定めているが、同県の最低賃金(現在629円)も大幅に下回っていると主張している。

 女性らによると、繁忙期は午前8時~午前0時ごろまで働き、休日が1カ月に1日もなかった月もあったとしている。残業代を除く1カ月の給料は、県の最低賃金で計算する契約。1カ月平均173時間で約11万円になるが、同社は「通帳に振り込んでいる」などとして明細を出さず、通帳やパスポートも預かられていたという。また、女性らが勤務時間中にトイレに行く際は、社長が時計で時間を計り、その分を休憩時間から差し引かれたという。

 女性らの労働状況を知った関係者が9月上旬、熊本県労連を通じて長崎県労連に連絡。女性らは団体交渉での解決を目指し、県労連の労働組合に加入し、会社側との団交を続けている。この結果、通帳などは返されたが、賃金についての進展はみられないという。

 女性らは「希望を持って日本に来たが、私たちは人間として扱われていない。実習生のうち1人は『給料が少ない』と言ったら中国に帰国させられた。私たちは適正な環境で3年間、日本で働きたい」と訴えた。

 同制度を巡っては、専門家らから「労働搾取」が相次いでいると批判の声が出ており、政府は今年7月に入管法を改正したほか、来年7月の改正法施行に合わせ、更なる制度見直しを進めている。【阿部弘賢】

毎日新聞 2009年10月27日 14時30分(最終更新 10月27日 14時45分)

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