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【FC東京ニュース】

浅利 引退表明 13年間貫いた「社員の美学」

2009年10月27日 紙面から

今季限りでの引退を決断し、練習後に取材に応じるMF浅利=26日午後1時39分、東京・小平のクラブハウスで

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 FC東京は26日、MF浅利悟(35)が今季限りで現役を引退すると発表した。浅利は1997年に前身の東京ガス入りし、プロ契約を結ばず、そのまま社員選手として13年間プレーした。今季はルーキーの米本の台頭もあり、出場機会が激減。熟考した末、「輝いているうちに退くことがいい」と引退を決断した。

 潔く、引き際を決めた。大きく揺れ動いた心は静まり、その表情は少しだけ晴れやかだった。

 浅利「ここ数年、僕自身がいつまで現役としてやっていっていいものか考えていた。ヨネ(米本)があれだけやれる力がついたのを目の当たりにして、かなわないかなと思うところがあって、僕も輝いているうちに退くことがいいのかなと決めました」

 JFL時代、午前は社業をこなし、午後に練習するという日々。そして、チームはプロ化、J2、J1とカテゴリーを駆け上がったが、社員のままプレーを続けた。「社員でもサッカーに集中できる環境をつくってもらい心の底から感謝したい」

 もちろん、周りは全員プロ。生活、生き残りを懸けた生存競争がある。でも、プロではない「背番号7」が誰よりも範の姿勢を貫徹した。約2年前、浅利はこう語っていた。「プロと同じ扱い。ならば、プロ以上の覚悟、心構えが必要」。浅利だけの美学があった。

 足首、アキレスけん痛…。「思い切ってプレーすることができなかった。葛藤(かっとう)があった」。余力を悟り、ユニホームを脱ぐ。ただ、今後もFC東京の仕事に携わっていく。「もっともっと強くすることが、恩返しになる」

 13年間の現役生活は残りわずか。勝ち、タイトルを奪い、最後に涙を流したい。「残りのサッカー人生、悔いの残らないように」。浅利のプレーを、心して見届けなければならない。 (松岡祐司)

 

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