戦時中の強制連行での賠償訴訟をめぐり、西松建設(東京)と和解が成立した中国人の元労働者と遺族の3人が26日、過酷な労働の現場となった広島県安芸太田町の安野発電所を訪れ、亡き仲間に花をささげ、和解の成立を報告した。
元労働者でただ一人生存している邵義誠(しょうぎせい)さん(84)は、発電所入り口で「和解の成立で、家族も少しは楽な生活ができるようになる。安らかに眠ってください」と追悼のあいさつをした。
強制連行された父が広島で被爆死した楊世斗(ようせいと)さん(68)も花束を手向け、「曇り続けた空に太陽が差し込んだ」と喜びを表現した。強制労働で叔父を亡くした曲啓杰(きょくけいけつ)さん(42)と3人で、収容所跡地や発電所施設を見学し、「苦しくつらい重労働だったろう」と帰国できずに亡くなった仲間を悼んだ。
【写真説明】和解成立を報告し、安野発電所敷地内で花束をささげる邵さん(手前)
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