かつてお世話になった警察幹部からぼやきを聞いた。捜査員は事件の端緒をつかみ、立件していくことが求められるが、「上司から指示された仕事をするだけの捜査員が増えている」と言う。
この幹部は「悪いことをする人間は他の悪い人間もよく知っているはず」と、起訴された被告からも情報を取るよう部下に助言してきた。「考えて仕事しろ」。自分が言われているようで耳が痛かった。
プロ野球・楽天の躍進は、野村克也監督の哲学「考える野球」を選手が実践したことが背景にあるという。自ら考えて動く選手は年齢に関係なく伸びるし、漫然とやっている選手に進歩はない。どの世界も同じだと改めて思う。(坂口)
毎日新聞 2009年10月25日 地方版