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無床化半年:地域医療の行方/5止 佐藤元美・藤沢町民病院院長に聞く /岩手

 無床化は、地域医療の在り方をどうするか、難しい問題を住民、医師、介護関係者らに投げかけた。半年経た今、答えは見えず、住民は救急時に搬送先が見つかるのか不安を抱え、負担を増やしつつ医師や福祉関係者が懸命に働く。処方せんはあるのだろうか。地域医療を守り、医師育成に取り組んできた藤沢町民病院の佐藤元美院長兼事業管理者(54)に話を聞いた。【山口圭一】

 ◇課題は総合医育成 必要な医療、地域で設計

 --無床化からの半年間をどのように見ているか。

 一律で無床化したのだから影響が出るのは当然だ。地域診療センターなど普通の病気を診る病院が減り、中核病院への患者の集中が増す。大病院と個人病院の二極分化を加速させている。

 --背景には、病院ごとの役割分担が理解されていない現状もある。

 誰でも参加できて、自由に話せる場で訴えないと住民には伝わらない。(県の医療圏別懇談会など)代表者だけを集め、アリバイづくりのように会議を開いても時間の無駄だ。

 無床化の際、医療局側の顔が見えなかった。2~3年ごとに交代し知事部局に戻る局長では難しい。医師が最低でも4~5年、局長を務め、「責任を持って自分がやる」と説明すれば、住民も理解してくれる。

 --どうすれば病院の二極分化は防ぐことができるのか。

 盛岡にある医療局からのリモートコントロールではうまくいかない。(地域の病院運営は)利用者に近いところで考えなければならない。例えば、県は、市町村や地元医師会と共同で病院を運営しつつ、ノウハウを移す。いずれ、県は離れて、医師・看護師の確保や県全体の医療を考える形にしていけば良かった。

 --地域に必要な医療をそれぞれ設計するのは難しい。

 むしろ市町村だからこそ設計図を作ることができる。種市(洋野町)や国保まごころ(奥州市)の両病院に解決のヒントがあると思う。地域に必要な魅力ある医療を生み出そうと考えれば、そういった人材を自分たちで育てようとする。

 --どういった人材が必要か。

 (幅広い診療科を診る)総合医が必要だ。今後、町全体の医療の防波堤となることができる総合医が求められるのは誰の目にも明らか。専門医育成に集中し過ぎた反省から(総合医育成の)流れは出てくる。そうした流れに乗る体制を早く作らなければならない。=おわり

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 ■人物略歴

 ◇さとう・もとみ

 55年3月一関市千厩町出身、79年自治医科大を卒業後、同年から県立宮古、久慈両病院内科に勤務。92年藤沢町福祉医療センター所長に就任。93年に藤沢町民病院を創設した。診療科にかかわらず広く地域医療に携わる「総合医」の育成に取り組み、同病院は常勤6人、非常勤3人、研修医1人(10月21日現在)を確保。病床稼働率84・2%(07年度)を維持し経営も安定している。

毎日新聞 2009年10月24日 地方版

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