ネガティブキャンペーンは、国政選挙は良くて地方選挙は悪いなどということはない。国政だろうが地方だろうが、暗さや陰湿さを引きずる点では同じと思う。でも住民が最も頼りとする基礎自治体、つまり市町村長選でこれをやられたら、その地域の将来は暗い▲古里を悪くしようと立候補する人はいない。ネガキャンは、明るく元気に、魅力全開で政策を訴える力強さを候補者から削り取ってしまう。なにより候補者の妻や子や親や親せきの日常や人生さえ削り取る。古里に暮らすことが嫌にならないかと心配になる▲候補者たちの表情に暗い影がさして見えるのは単に私の主観なのだろうか。それとも気のせいなのか。どちらが鶏でどちらが卵かは分からない。分からないがそれはとても格好悪い。【佐藤伸】
毎日新聞 2009年10月23日 地方版