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【裁判員 神戸地裁判決詳報】猶予付き判決に「よかったな」と被告の背中をたたいた殺人未遂被害者の父 (4/4ページ)
裁判長「裁判所は裁判員のみなさんと裁判官がどのような言葉をかけるかを話し合いました。その内容は、人間は誰しも弱さはあるけれども、あなたも自分の弱さがあるという自覚を持ち続けて、克服していってほしいということです。生まれ変わったくらいの気持ちで社会に戻ってほしい。あなたはプライドを持っているように感じますが、それを意識せず、なりふり構わず、新しい生活に立ち向かってほしいと思います」
《さらに裁判長は、砂野被告の家族について、裁判員と裁判官からのメッセージを伝えた》
裁判長「あなたのことを本当に大事に思っているお父さん、それを痛いほど裁判所は感じています。それに思春期の長男さん、長女さん、つらい思いをさせていると思うんだけど、そういう方々にとってあなたが社会に出てからもたくさんの困難、苦労があると思いますが、家族を大事にしてみんなで幸せに生活していってほしいというのが私たちの願いです」
《ここで裁判長は少し間をおいた》
裁判長「この事件があり、夏は留置施設の中で過ごしたと思います。今日は青い空、空気の澄んだ秋空です。澄んでいる秋空の空気を吸って、決意を新たにして新しい生活に進んでほしい」
《砂野被告のこれからの生活に思いをはせるように、裁判長はゆっくりと告げた。傍聴席は静まりかえっている》
裁判長「よろしいでしょうか。これをもって、判決の言い渡しを終わります」
《砂野被告は両手を証言台につき、思いをかみしめるように下を向いた。そしてぐったりと、倒れ込むように弁護人席の前の椅子に座り込んだ。裁判官3人と裁判員6人は深々と礼をして法廷を後にした》
《弁護人が砂野被告のそばにより、背中をたたいて砂野被告に言葉をかける。傍聴席にいた父親もゆっくりと法廷に入って砂野被告に歩み寄り、砂野被告と抱き合った。父親は「よかったな」と背中を2度、ポンポンとたたいた。砂野被告は無言でうなずいた》
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