「私たちの要求が認められた」。戦時中の強制連行をめぐり西松建設と中国人の元労働者らが和解した23日、来日した邵義誠(しょう・ぎせい)さん(84)は西松側の弁護士とがっちりと握手した。ただ、1993年の交渉開始から既に16年。各原告とも前進と評価しつつ、長期間の交渉を振り返り複雑な心境もにじませた。
和解成立後に東京都の司法記者クラブで開いた記者会見。唯一の生存原告として和解手続きに参加した邵さんが「西松建設の勇気を評価する」との声明を読み上げ、同席していた西松側の高野康彦弁護士と握手。「中国人強制連行・西松建設裁判を支援する会」の川原洋子事務局長(59)も広島市から駆け付け、支援者からは拍手がわいた。
邵さんは「謝罪もあり、うれしい。満足している」と語りながらも、淡々とした表情。親族の請求権を引き継いだ遺族原告である楊世斗(よう・せいと)さん(68)は西松側の謝罪を評価する一方で「これまでの交渉で嫌な思いをたくさんした」との思いを吐露。遺族原告の曲啓杰(きょく・けいけつ)さん(43)は「この和解を契機に、ほかの企業と政府も強制連行問題にまじめに対応してほしい」と訴えた。
【写真説明】西松建設側の高野弁護士(右端)と握手する原告側の左から内田雅敏弁護士、楊さん、邵さん、曲さん=23日午前11時20分、東京・霞が関の司法記者クラブ(撮影・荒木肇)
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