鹿笛

　先日、広島の生家に帰り、高校の同期会に出席した。同期生と会うのはほぼ４０年ぶり。９０人ほどが出席した。

　女性が誰か分からなくなっているのは予想していたが、男性も見分けられたのは数人だけ。そろってやせ形を保ってきた連中だ。前より太った者は－大方の連中がそうだったが－まず見当がつかない。当時は５０キロをやっと超えた小生も今は８０キロ余。「太ったな」と集中攻撃を受けた。

　名札と顔を付き合わせ、昔の友人の面影を見付けようとした夢のような２時間半だった。短過ぎるような気もしたが、ちょうど良かったのかもしれない。世知辛い浮世のことを忘れ、心ゆくまで名残を惜しめたのだから。（栗栖）