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無床化半年:地域医療の行方/4 地域包括支援センター /岩手

 ◇医療機関との連携役 入院先探しに追われ

 7月末、住田町地域包括支援センターの主任ケアマネージャー、菅野英子さんに町内の開業医から連絡が入った。「独り暮らしのおじいさんが高熱で受診した」。89歳の男性宅を訪ねると38・7度の熱だった。3日目も熱が下がらず、肺炎の疑いもあった。菅野さんは一日3、4回は、様子を見に行きつつ入院先を探した。ある県立病院は「異常はない」とし、入院できなかった。何とか4日目に陸前高田市の県立高田病院への入院できた。「無床化前ならば、住田地域診療センターに入院できたはずなのに」。菅野さんが嘆いた。

 無床化センターのある地域では、高齢者福祉の差配役である地域包括支援センターが、医療機関との連携役として負担が増えた。

 住田町では、介護度4、5の寝たきり高齢者は60~70人、病気で日常生活に介助が必要な虚弱高齢者は200人前後いる。住田地域診療センターは4月末に内科医が不在となり、4~9月の訪問診療件数は前年同期に比べ半減した。町外の医療機関に運ぶ機会も増え、「医療機関探しに追われている」と菅野さんは言う。

 同じく無床化された大迫地域診療センターがある花巻市大迫町では、地域包括支援センターを兼ねる特別養護老人ホーム「桐の里」が、施設職員も動員して入所者らの入院に備える。介護利用者の入院先は遠野、盛岡、八幡平、北上市まで広がった。近い県立遠野病院とは週3回程度、情報交換も進める。桐の里の佐藤忠正理事は「情報を足で稼いでいる段階だ」と語る。

 一方、高田病院は陸前高田市地域包括支援センターと協力し、07年度から「地域連携パス」を導入した。介護利用者が入院する際、担当するケアマネジャーが、食事や排せつなど入院前の生活状況や注意事項をパスに記し、病院に提出。退院時は、病院が入院時の病状などを加えて返す。病院は治療に生かし、介護側も、退院後に患者のケアがしやすくなった。

 だが、他の基幹病院で導入が進んでいるわけではない。高田病院の石木幹人院長は「地域全体で取り組もうと動く医師が出てこない」とため息をついた。【山口圭一】

毎日新聞 2009年10月23日 地方版

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