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母子加算:「修学旅行に行ける」…復活に胸なで下ろす

 一人親の生活保護受給世帯に上乗せ支給されていた母子加算の満額復活が23日午前、閣議決定した。05年度から段階的に削減、今春全廃されたが、12月から再び支給される。政府内の折衝が難航、見通しが危ぶまれた時期もあっただけに、暮らしを切り詰めてきた各地の親たちは、胸をなで下ろしている。

 「やっと戻るんですねえ」。体調を崩したのをきっかけに3年半前から生活保護を受給する札幌市の菊地繭美さん(46)は、ほっとした様子。07年4月、息子の高校入学と同時に月額約2万3000円の母子加算が打ち切られた。入浴回数を減らしたり、衣服も数カ月に1度しか買ってやれなくなった。

 「廃止は生存権を侵害する」として、自治体を相手取って提訴。今年4月以降、母子加算復活を目指す民主党の会合にも参加し、窮状を訴え続けた。「復活したら、息子とおすしを食べたい。ずっと食費も削ってきたから」と話すものの、息子が来年3月に高校を卒業すれば、母子加算の対象から外れる。

 東京都足立区の女性(50)は「高校1年の息子が来春の修学旅行に行ける」。月額2万3000円の母子加算が削られた後は、食事の回数やおかずを減らし、「食べ盛りの息子が食べない私に遠慮するのがつらかった」。20代から病気を患い、フルタイムの仕事は難しいが、来春早々にある息子の修学旅行の積立金も確実に捻出(ねんしゅつ)できそうだ。

 女性の息子は高校卒業後、1人暮らしをする可能性もあるといい、「自立のための準備のお金が全くなかったが、復活で最低限の蓄えができるかもしれない」と期待する。

 厚生労働省は、財務省との折衝で、母子家庭以外の保護世帯にも支給されてきた高校生向け就学費などが、加算復活と引き換えに廃止されることも求められた。生活保護問題対策全国会議の尾藤広喜弁護士は「復活は社会保障を手厚くする突破口に過ぎない」としている。【佐藤浩、野倉恵】

毎日新聞 2009年10月23日 12時07分

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