事件・事故・裁判

文字サイズ変更
はてなブックマークに登録
Yahoo!ブックマークに登録
Buzzurlブックマークに登録
livedoor Clipに登録
この記事を印刷

新型インフルエンザ:医療従事者、ワクチン希望230万人 事務員加わり想定の倍超す

 19日から始まった医療従事者に対する新型インフルエンザのワクチン接種について、医療機関側の接種希望者数が国の割り当て(約100万人)を大きく上回る230万人以上に達することが、毎日新聞の都道府県への調査で分かった。多くの医療機関が医師や看護師だけでなく、事務職員らの接種も求めていることが原因とみられる。ワクチンが「足りない」と答えたのは33都府県に上り、各都道府県は医療機関の納得を得られる配分に苦慮している。【まとめ・清水健二】

 ◇厚労省「割り当て範囲で」

 厚生労働省が約100万人と算定した根拠は、厚労省の医療施設調査と総務省消防庁の救急業務実施状況調査。両調査によると、厚労省が対象職種に想定する医師、看護師、准看護師、救急隊員の合計は約120万人だが、インフルエンザ患者の診療に従事しない人もいることを勘案した。厚労省はワクチンを医療従事者数の割合に沿って都道府県に配分し、その先は都道府県に一任している。

 毎日新聞が47都道府県の担当者に医療機関から寄せられた接種希望者数を聞いたところ、集計ができている43都道府県だけで計約237万人に上った。40都府県で接種希望者が割当数を上回り、うち22都府県で2倍以上の差があった。

 接種については、9道県が「精査すればワクチンは足りる」などとしたが、33都府県は不足を指摘した。神奈川県の担当者は「病棟事務からも希望があった」、香川県の担当者は「老人保健施設などにいる希望者も含めたらオーバーした」と説明。「国が定義をはっきりさせていない」との批判もあった。

 不足時の配分方法は▽内科、小児科、救急などを優先(岐阜、宮崎県など)▽診療所など小規模施設は全員接種(茨城県、京都府など)▽医師は100%(栃木、滋賀県など)--など異なった。福島県は外来・入院患者を受け入れるかで優先順位を付け、秋田県は「一般病院は医師・看護師数の8割、医師1人の診療所は3人分、介護施設は4人分」などと決めていた。

 厚労省インフルエンザ対策推進室は「妊婦など接種が急がれる一般国民が後に控えているので、割り当ての範囲にとどめてほしい」と話している。

 ◇「窓口職員必要」--現場の声

 新型インフルエンザ患者に対応する医療機関からは、「医師、看護師以外のスタッフも接種したい」との声が圧倒的に強い。

 横浜市内の診療所は、2人の医師と2人の看護師に加え、6人の事務職員全員も接種対象者として医師会に連絡した。ワクチンはまだ届いていないが、所長は「季節性のワクチンも毎年全員に打っている。患者と最初に接する窓口の職員が予防接種をするのは当然だ」と主張する。

 東京都内の中規模病院の場合、医師と看護師、臨床工学技士、外来担当の薬剤師や事務職員ら、スタッフ約330人のうち200人以上を接種対象と考えている。院長は「全国民分がないとはいえ、医療従事者用で100万人分は少なすぎるのではないか」と不満を漏らしている。

毎日新聞 2009年10月23日 東京朝刊

事件・事故・裁判 アーカイブ一覧

 

おすすめ情報

注目ブランド