戸塚ヨットスクール、１８歳生徒自殺か

　愛知県美浜町の戸塚ヨットスクール（戸塚宏校長）で１９日、入校生の横浜市出身の女性（１８）が、３階建ての寮の屋上から飛び降りて死亡した。女性は１６日に入校したばかりだった。県警半田署は自殺の可能性が高いとみて調べている。戸塚校長は「突発的だったので防ぎきれなかった。責任を感じている」と釈明している。

　１８歳の女性が突然、屋上から飛び降りた。戸塚ヨットスクールの戸塚宏校長（６９）によると、この女性は１６日に家族に付き添われ入校した。家族からはスクールに対して「精神安定剤を服用し、退院したばかり」と説明があったという。

　女性はこの日午前９時半頃、男性コーチと寮生の女性と一緒に、海が見える寮の屋上の東側で布団を干していたが、コーチが目を離したすきに西側に移動。突然高さ１・５メートルの鉄筋コンクリートの壁を乗り越え、コーチが止める間もなく約１０メートル下の国道へ飛び降りたという。近所の主婦は「ワーという声が聞こえた」と、飛び降りた瞬間の様子を話した。遺書などは見つかっていないが、入所した当初から「死にたい」とスクール関係者に話していたといい、半田署は自殺の可能性が高いとみて詳しく調べている。

　同署によると、女性の体には、古いリストカットの傷などが複数あり「家族の話では、女性は自傷行為や家庭内暴力があったため、家で面倒を見られないから入校を決めたと聞いている」と、同校への入学の経緯を説明。さらに「女性は０４年から通院し、入退院を繰り返していた。また現在も精神安定剤を服用中だった」と、精神状態が不安定だったとした。今回の事件に対し、戸塚校長は「管理体制に問題はなかったが、所属した生徒が亡くなったことには責任がある」と釈明している。

　戸塚ヨットスクールを支援する会の運営委員長を務める柴田博司さん（６６）は「女性は昨日（１８日）初めて海に出て、ヨットの訓練を受けて楽しそうにしていた。うつの薬を飲んでいるとは聞いていたが、ほかの寮生と同じ扱い。今日の朝食もみんなと一緒にとっていた」と、自殺の前兆はなかったと話している。

　同スクールは、かつて訓練中に生徒が死亡し問題となったが、戸塚校長は「今は体罰はやっていない」と話している。現在１４人が在籍しているが、帰省している生徒もおり、事件当時寮にいたのは死亡した女性を含めた９人だった。

（2009年10月20日06時01分スポーツ報知）

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