2016年夏季五輪招致失敗を受け、都議会では招致活動経費を巡る審議が始まった。各会計決算特別委員会の分科会では19日、招致機運を盛り上げるための各事業について、契約先の決め方が随意契約や特命契約に偏っている点が指摘された。
民主党の伊藤悠議員が、五輪招致経費のうち広告代理店大手の電通への支出が占める割合などをただした。五輪招致本部によると、招致活動経費150億円のうち委託契約は78億円で、うち63%の契約先が電通だった。五輪招致本部が電通に委託した事業の99・6%、NPO法人の五輪招致委員会が同社に委託した事業の100%が、入札によらない随意契約か特命契約だったという。
伊藤議員は「競争原理が働いていないのでは」と質問。招致本部の重田敏光・事業調整担当参事は「し烈な国際競争を勝ち抜くという特殊な目標があり、ノウハウを持つ業者である必要があった」などと答弁した。
さらに伊藤議員は、都が1000万円を限度に区市町村に委託金を支給した普及事業にも触れた。招致本部によると、08年度に実施された全139事業のうち、都が把握できている99事業中92事業が随意契約または特命契約で委託された。また都が「ノウハウを持たない区市町村への情報提供」として紹介した3業者が計37事業を受注した。伊藤議員は「他業者から見積もりさえ取っていないケースもあり、(区市町村にとっては)棚ぼた予算として丼勘定で支出されたのでは」と指摘した。【市川明代】
〔都内版〕
毎日新聞 2009年10月20日 地方版