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敗れた東京五輪、まだ資金集め 民間寄付、目標に届かず

2009年10月19日3時0分

 16年夏季五輪招致に失敗した東京五輪招致委員会(会長=石原慎太郎東京都知事)が、今も招致活動費集めを続けている。企業の寄付など民間資金が目標の50億円に約7億円届かず、赤字決算になりかねないからだ。招致関連業務を委託した広告会社には値引きも要請している。

 招致活動は、都と招致委が二本柱で進めた。都は都内でのPRなどを担当。スポーツ界や民間企業も加わる招致委は開催都市を決める投票権を持つ国際オリンピック委員会(IOC)委員との接触や、招致コンサルタントを使った情報収集も手がけた。

 招致活動費は都税100億円と、民間からの協賛金や寄付など50億円の総額150億円。これを都と招致委が折半した。都の75億円は都税だが、招致委分は都税25億円と民間資金50億円だ。

 都と招致委は、活動費の使途について、都税分は都民の理解を得られる「表の金」、民間資金はそれ以外の部分に充てるとしている。IOC委員との接待会食費や、招致コンサルタントの情報収集費なども含まれるという。

 関係者によると、招致委がこれまでに集めた民間資金は約43億円。招致ロゴ使用権などを買った協賛企業17社の協賛金と寄付が大半を占める。ところが、景気の悪化で寄付の約束を白紙にする企業も出てきた。危機感を強めた招致委は、企業への寄付依頼を強化する一方、招致のPRイベント開催費や海外出張費などを削り込んだ。

 ただ、2日のIOC総会で東京の招致失敗が決まった後に寄付を決めた企業はない。招致委は年末まで寄付を求め続ける予定だが、都幹部は「五輪を企業PRに使えないのだから、今更寄付をいただくのは難しいだろう」。

 招致委の支出額は年末には固まる見通し。石原知事は活動費全額の使途を公表する意向で、外部監査も検討している。都は招致委の最終決算が赤字になっても、原則として税金の追加投入はしない方針だ。関係者は「これ以上は都民の理解が得られないだろう。企業からの寄付と値引きで赤字を避けたい」と話す。

 招致委は来年3月までに解散の予定。赤字の場合は債権者と協議することになるという。(岡雄一郎、池田敦彦)

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