最終更新: 2009/10/21 02:04

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アメリカ軍普天間基地の移設予定地の住民を取材しました。

20日に来日したアメリカのゲーツ国防長官は、岡田外相に対し、普天間基地移転の日米合意の実行を迫りました。政権交代で合意の漂流が始まった沖縄の今。基地の移設予定地の住民を取材しました。

沖縄・名護市にあるキャンプ・シュワブ。
普天間基地の移設先として、辺野古沖への滑走路建設が日米合意されている。
しかし、政権交代により、計画が暗礁に乗り上げている。
そんな中、20日午後、アメリカのゲーツ国防長官が訪日し、岡田外相との会談に臨んだ。
ゲーツ国防長官は「すでに日米間で合意した米軍再編にかかわる実施計画を実現していく」と述べた。
岡田外相は「日米同盟を持続可能なものにし、さらに深めていくためにしっかりと努力していきたい」と述べた。
ゲーツ国防長官は「現行案はさまざまなオプションを検討した結果であり、唯一実現可能な案」とし、早期の実現を要望した。
ゲーツ国防長官は21日、鳩山首相と会談に臨む予定。
日米の焦点となっている建設予定地とは。
フジテレビの秋元優里アナウンサーは、地元でカヌーを教えている中村 智さんと辺野古沖へ向かった。
目の前に臨むキャンプ・シュワブ。
海を埋め立てて、滑走路がつくられることになる。
秋元アナウンサーは「水がかなり深くまで、透明度が高いんですよね。ずっと底が見えるんですよね」と話した。
中村さんは「黒っぽいところありますよね。そういうところが岩場とかサンゴとかあるところなんですよ」と話した。
辺野古の海では、貴重なサンゴ礁や絶滅の危機にひんするジュゴンが確認されている。
中村さんは「ジュゴンは海草を食べるっていうので、こういう浅場にしか海草ないんですよ。浅いということで、埋め立てしやすいところではあると思うんですけど」と話した。
さまざまな生き物が生息する辺野古の海。
この海を守ろうと、13年間座り込みを続け、基地の拡張に反対する住民たちがいる。
最初に座り込みを始めた嘉陽宗義さん(87)。
1922年、嘉陽さんはこの辺野古で生まれ、辺野古で育った。
嘉陽さんは「海に行けばタダで食べられた。戦争中も豊富に何でも、魚でもエビでもいたわけだな」と話した。
「海のおかげで生きている」という嘉陽さん。
基地に反対するもう1つの理由は「戦争体験」。
嘉陽さんは「(若い人は)戦争の恐ろしさをわからん。おばあたちは、山で手りゅう弾を投げられて、家族が死んだのもたくさんいる」と語った。
民間人を巻き込み、地上戦となった沖縄。
軍人として、仲間も多く亡くした嘉陽さんの心に、戦争は大きな傷あとを残した。
嘉陽さんは「海は生命の元だ。子や孫の命を守るためのこと。命がけですよ。これがすべて、おじいがここに来る原動力は」と語った。
しかし、辺野古の町には、基地に反対する住民がいる一方で、普天間基地からの移設を推進する人たちもいる。
移設推進派の住民は「(推進されるのはどういう理由から?)地元の雇用関係。それが一番。あと地元の発展ですよね。この一帯、仕事がなくて暮らしている方もいますし」と話した。
全国で最も失業率が高い沖縄。
辺野古がある名護市でも、商店街はシャッターが下り、空き店舗が目立つ。
名護市民は「(景気はどうですか?)仕事がないし、稼げない。失業者いっぱい」、「駄目なんですよ、本当に。人通りが少ないですから」、「30分に1回、お客さんが来るか来ないかですよね」などと話した。
名護市は、基地移設の合意を条件に得た北部振興策の巨額の予算で、雇用拡大を目的にした施設や市営住宅などを建設している。
反対派、推進派に分断された住民たち。
移設の結論を2010年1月の名護市長選挙のあとに先送りする意向を示している鳩山首相は「何が妥協できるのか、どこが妥協できないのか。私はまだまだ時間というものが、許されていると、そう思っていますから」と述べた。
政権交代という「政治状況の変化」の波に翻弄(ほんろう)される地元の住民たち。
漂流する移設の決断は、いつ、どこへ行き着くのか。

(10/21 01:18 沖縄テレビ)


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