東京都内のインターネットカフェと漫画喫茶全561店舗(8月末現在)のうち、利用者の本人確認をしていない店舗の刑法犯罪の発生件数は、確認している店舗の2倍であることが、警視庁の調べで分かった。本人確認をしている店は全体の4割程度にとどまっており、警視庁は17日、防犯対策について提言をまとめる有識者懇談会を設置し、初会合を開いた。懇談会は11月中旬にも具体策を出す。
ネットカフェと漫画喫茶は1時間数百円の料金で個室を利用できるため、ホテル代わりにする人も多く人気がある。その一方で、ネット犯罪をはじめ、窃盗や強制わいせつなどの刑法犯罪が多発しているとの指摘がある。
警視庁が都内の全店舗を調査したところ、置き引きなどの窃盗や無銭飲食、強盗、強制わいせつなどの刑法犯罪は今年1~8月に679件発生。うち本人確認をする店舗が156件だったのに対し、確認しない店舗は505件(18件は不明)で、1店舗当たりの発生件数は2・1倍の差があった。本人確認していない店舗が振り込め詐欺グループの潜伏場所にされたケースもあったという。
警視庁は「匿名性が犯罪を助長している」として▽防犯カメラ映像を3カ月以上保存する▽利用者の入退店時間を記録する▽パソコンで有害情報を閲覧できないようフィルタリング機能を設定する--などの対策を事業者に求めている。【町田徳丈】
毎日新聞 2009年10月18日 東京朝刊