在日米軍再編問題で移設をめぐりいらだちが深まる沖縄・普天間を取材しました。
アメリカのゲーツ国防長官が20日、来日します。
懸案の1つ、沖縄・普天間基地の移設問題では、微修正には応じるから動かそうというシグナルを送ってきましたが、鳩山政権は先送り姿勢です。
いらだちが深まる普天間の今を取材しました。
在日米軍再編問題で、最大の焦点となっている沖縄・宜野湾市にある普天間基地の移設が急がれる理由とは。
地元・宜野湾区自治会長の仲村 清さんに高台へ案内してもらった。
宜野湾区自治会長の仲村 清さんは「あそこ見えますよね」と話した。
フジテレビの秋元優里アナウンサーは「本当にもう民家のすぐ、すぐどころか本当に近いんですね」と答えた。
ぎりぎりまで密集する住宅街。
基地の面積は、宜野湾市の4分の1を占め、その周りには、およそ9万人もの住民が住んでいる。
秋元アナウンサーは「この辺りの騒音とかも、かなりすごいんじゃないですか」と尋ねた。
宜野湾区自治会長の仲村 清さんは「離着陸するたびに相当な音ですね。もう話も会話、テレビ等も聞こえないぐらい」と答えた。
校庭の上に現れたアメリカ軍のヘリコプター。
基地に隣接する小学校では、子どもたちの頭の上を爆音を立てて、次々と通過していく。
この日、校庭では、体育の授業が行われていた。
しかし、危険と隣り合わせの状況に、担任の先生たちは気が気でない。
普天間第2小学校の下地律子先生は「勤務時間中は、もうずっと同じ。緊張っていうんですかね、音がするたびに今何かあったら、わたしたちは、どこにどう避難すればいいのかっていうのが、常に頭にありますし」と話した。
わずか10分のインタビューの間にも、2機の米軍機がすぐ後ろを通過していった。
普天間第2小学校の下地律子先生は「普通ですよ、普通にです、普通にこんなんです。移転じゃないかとかっていうふうに期待をして、また次の日は裏切られてっていうことの繰り返しなんですね」と話した。
1996年、普天間の全面返還を日米で合意したものの、基地はいまだ動かぬままとなっている。
2004年、住民の心配は、現実のものとなった。
普天間基地のすぐ近くの大学に米軍ヘリが墜落し、機体の一部は住宅地にも落ちた。
ヘリ墜落現場には、今も生々しく傷跡が残る。
秋元アナウンサーは「横にザーッとコンクリートがね、切られたみたいになっていますね」と話した。
宜野湾区自治会長の仲村 清さんは「ヘリが落ちる時に、プロペラが回転しながら回ったような跡なんですよ」と答えた。
事故の衝撃を物語るえぐられた校舎。
黒い大木は、ヘリが爆発・炎上した際、焼け焦げて折れたものだった。
移設合意から13年、何も変わらない現状。
宜野湾区自治会長の仲村 清さんは「これが長期化するのが一番、心配ですね。毎日、危険にさらされている現状ですから、どうにか早期に移転できるね、方向で願っているんですけども」と話した。
そんな中、普天間の代わりの施設として移設が計画されているのは、沖縄北部の辺野古で、キャンプ・シュワブの沿岸部に、新たに滑走路を建設する予定となっている。
秋元アナウンサーは「でも、想像つかないですね。ここに、ここに滑走路ができるっていうのは、きれいなこの景色を見ている限りはね」と話した。
与党3党は、在日米軍再編問題をめぐって、連立合意で見直しの方向で臨むと明記し、辺野古への計画は、暗礁に乗り上げている。
これに対し、アメリカは「合意を実行できなければ、日米双方の打撃になる」と、日本へ警告した。
さらに、20日のゲーツ国防長官の訪日を前に、50メートルほど沖合に移動させる微修正の案を容認する考えを示した。
早期決着を迫るアメリカに対し、鳩山首相は「県民の皆さんの思い、それを総合的に判断をして、しかるべきときに結論を出すと。ほかの選択肢というものがあるのかないのかということも、これはアメリカ政府とも虚心坦懐(たんかい)に相談し合いながら決めていく柔軟性というものが求められているのではないか」と述べた。
鳩山首相は、日米合意はそれなりに重いとしながらも、20日のゲーツ国防長官、11月のオバマ大統領の訪日前の結論を先送りにした。
負担が長期化する普天間の住民たちは「(結論が先になりそうですが?)期待したら、期待外れになるのがオチだからね。もう、期待しないでおこうって言ってる」、「早くとにかくなくしてほしいというのは、みんなあるんじゃないですかね」、「これは、行政の怠慢じゃないですか。放置するのは、やっぱりおかしいですよね」、「親とかも(基地で)働いているので、実際、何とも言えない気持ちです」と話した。
さまざまな思いが交錯する基地の街。
鳩山首相は、民意をどう受け止めるのか、厳しい決断を迫られている。
(10/20 00:56)