琉球國祭り太鼓の演舞で開会した日本JC全国会員大会沖縄那覇大会の式典=17日夕、宜野湾市の宜野湾海浜公園
日本青年会議所(JC、安里繁信会頭)の第58回全国会員大会沖縄那覇大会3日目は17日夜、宜野湾海浜公園で「ゆいまーるで結ぶJECEEの地力(ちから)」をテーマに大会式典を開き、全国709組織から約1万人が参加し、活動報告などがあった。
安里会頭は「32年間のしがらみからの脱却を宣言する。現役の現役による現役のための社会変革運動へと昇華するためだ」と述べた。1978年度会頭だった麻生太郎氏を首相に押し上げることを目指し、歴代有力会頭らが人事や運営に関与してきたことに対し、麻生首相の実現を機に一線を画すことをうたった異例の発言となった。
沖縄色あふれる式典は、主管の那覇JCの上原貴行理事長が「世界に誇る精神・ゆいまーる、悲惨な地上戦を経験した沖縄が願う平和の思いは届きましたか」とあいさつして開会。
来賓の仲井真弘多知事は「沖縄は平和で活力に満ちた自立型経済の構築に取り組んでいる。お力添えをお願いしたい」、翁長雄志那覇市長は「ウチナーンチュの温かい心と歴史文化に触れてほしい」と述べた。
安里会頭から相澤弥一郎次期会頭への引き継ぎ式などもあった。次年度大会は、小田原市(神奈川県)で開かれる。
◆OB介入断ち切る意図 安里会頭「しがらみ脱却宣言」
17日の日本JC全国会員大会沖縄那覇大会の式典で、県出身の安里繁信会頭が「32年間のしがらみとの脱却」を宣言した。JC最大のイベントで1年間の活動の総決算となる大会式典であえて言及した真意は、政権が代わり政治、経済の激動期を迎える中、有力OBによる運営や人事への介入を断ち切り、組織運営の主体性を現役に取り戻すことを意図したものだ。
約4万人の会員を擁するJC。歴代会頭からの総理大臣輩出の待望論は強かった。1978年度会頭だった麻生太郎氏に近い歴代有力者がJCを有力な支持基盤と位置付け、影響力を行使してきた経緯がある。現役幹部に不満もくすぶる中、総理輩出の悲願は、昨年の麻生首相誕生で成就した。
安里会頭は「われわれの手で総理大臣をつくろうという情熱は、暗黙の了解的なしがらみを組織の文化としつつ、引き継がれてきた。(麻生氏に)側近として仕える数人の歴代(会頭)はあらゆる決め事に強烈に関与し続けてきた」と、刺激的な言葉で説明した。その上で「誰のための何のための運動なのか。必ず時代が変わると宣言してきた男として、脱却を宣言する」と訴えると、拍手がわいた。
JC内では「勇気ある行動」(幹部)と評価する声が大勢だが、一方で次期会頭に「プレジデンシャルリース」を引き継ぐセレモニーで歴代会頭8人のうち、2人が登壇を拒む一幕もあり、波紋も広げそうだ。
安里会頭に近い関係者は「政治的には保守の会頭だからこそ、青年経済人の現役世代が主体的に活動を担う決意を示した。OBへの感謝を忘れて、きずなまで断ち切る発言では断じてない」と解説した。(松元剛)
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