県医療局の医師数(後期研修医、臨時職員含む)が、地域診療センター5カ所の入院ベッドを休止(無床化)した今年4月以降も減り続けていることが分かった。無床化を盛り込んだ同局の新経営計画の検討開始前の08年4月に計531人いた医師は、今年9月では516人に減少した。医療局は無床化の際、相次ぐ医師の退職に歯止めをかけるため負担を軽減する必要がある、と説明してきた。医師確保のため無床化を受け入れた地域住民に、さらなる説明が求められそうだ。
県医師支援推進室のまとめによると、今年9月1日現在の医師数は、常勤が502人(08年4月512人)、臨時が14人(同19人)だった。病院別減少数は、千厩(一関市)が5人と最多。南光(同)4人、大船渡、宮古、久慈が各3人、釜石2人と続いた。救命センターを擁する沿岸部の基幹病院からの医師流出が激しい。
同室の根子忠美室長は「昨年度のうちに申し出があった方が、今年度上半期に退職した。退職の申し出は年度後半に集中する傾向があるので、無床化の効果は今後の動向を見ないと分からない」と説明する。だが、県立大船渡病院の八島良幸院長は「沿岸部の病院は今でも薄氷を踏む思いが続いている」と依然厳しい現状を訴えている。【山口圭一】
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◆県立病院別の医師数◆
病院名 08年4月 09年9月
中央 130 133(3)
大船渡 37 34(▼3)
釜石 22 20(▼2)
宮古 34 31(▼3)
胆沢 52 51(▼1)
磐井 50 50(0)
遠野 9 12(3)
高田 5 5(0)
久慈 36 33(▼3)
江刺 8 7(▼1)
千厩 11 6(▼5)
中部※ 52 52(0)
二戸 27 32(5)
一戸 13 13(0)
大槌 4 3(▼1)
山田 3 2(0)
沼宮内 3 2(0)
軽米 5 5(0)
大東 3 4(1)
東和 4 3(▼1)
花泉○ 1 1(0)
大迫○ 2 2(0)
住田○ 2 1(▼1)
九戸○ 1 2(1)
紫波○ 3 2(▼1)
南光 14 10(▼4)
計 531 516(▼15)
○印は地域診療センター。※中部病院の08年4月医師数は統合前の花巻厚生と北上の合計。括弧内は増減比、▼はマイナス
毎日新聞 2009年10月19日 地方版