厚生労働省は18日、季節性と新型のインフルエンザワクチンについて「妊婦へは原則接種しない」としていた添付文書の「接種上の注意」の記載を削除することを決めた。新型ワクチンの一般国民への接種が11月から始まるのを前に、安全性を改めて評価し、妊婦特有のリスクはないと判断した。季節性のワクチンと新型との同時接種も「医師が認めれば可能」と明記する。
妊婦への新型ワクチン接種は、日本産科婦人科学会などが推奨しており、厚労省も妊婦を医療従事者に次ぐ優先接種対象者に挙げている。一方で添付文書には「安全性が確立していない」との理由で原則接種しないと記載され、整合性が取れていなかった。
同日開かれた薬事・食品衛生審議会安全対策調査会で、「妊婦への接種を否定する根拠はない」との意見でまとまり、見直しが決まった。インフルエンザワクチンを接種した人が他のワクチンも打つ場合は、「通常27日以上(一部は6日以上)の間隔を置く」とされていたが、医師の判断で同時接種が可能になるよう改める。
また、新型インフルエンザの重症化防止に効果があるとされる肺炎球菌ワクチンについて、過去に接種歴がある人の再接種を認めることも決めた。2回目以降の接種は副作用の危険が高まるとの理由で不適当としていたが、関係学会が「免疫効果は5年程度で低下し、再接種が感染防止には必要」と指摘していた。【清水健二】
毎日新聞 2009年10月18日 19時41分