ポカーンとしていると、酔っぱらったFがやって来た。
「今まで純米酒がいちばん美味しいと思ってたけどさあ、大吟醸ってやっぱ飲みやすいわー! なんかそういうのが分かっただけでも収穫だー!」
と、嬉しそう。
「そういわれれば、そうかな」
私は、どれが美味しいとか…、全然把握出来なかった。100人集まる合コンで、誰ともちゃんと話せず、お気に入りを見つけられなかった、そんな感じ。ただ圧倒されっぱなし、浮かれっぱなし。合コン行ったことないけど。
「ところでさあF、今夜、広島に戻ったら、フグとか食べない? 安くて美味しい店があるらしいんだけど」
「ハア?」
この時、私の胃は、まだ痛くなかった。痛くなかったというか、身体の異変に、脳が気が付いてなかったというか。
とりあえず「酒ひろば」を出ることにした。さあ、次は酒蔵めぐりに出発だ!(つづく) |