【エルサレム前田英司】国連人権理事会(本部・ジュネーブ)は15日、パレスチナ情勢に関する特別会合を開き、昨年末から今年初めのイスラエル軍のガザ地区攻撃を巡る国連報告書について協議に入った。人権理はパレスチナ自治政府の「同意」の下、報告書支持の決議案採択を来年3月まで延期したが、その後、厳しい内部批判にさらされた自治政府が「早期採択」へ翻意したため、緊急の協議を要請していた。
人権理は当初、今月2日に決議案を採択する予定だった。しかし、今期から理事国になった米国は強く抵抗、パレスチナ側を説得して来年3月の次回会期に先送りした。報告書はイスラエル軍、パレスチナ武装勢力の双方を「戦争犯罪」と糾弾したが、米国はイスラエル寄りの立場から「バランスを欠く」などと指摘している。
パレスチナ内部では採択延期後、ガザを実効支配するイスラム原理主義組織ハマスだけでなく、アッバス議長の出身母体ファタハからも、「イスラエル追及を自制した」との非難が噴出。自治政府は議長側近が「(延期に同意したのは)間違いだった」と釈明する事態に追い込まれていた。
特別会合は16日も続く見通し。
毎日新聞 2009年10月16日 東京朝刊