警官による飲酒運転事件が相次いだ県警は15日、本部庁舎(福岡市博多区)で、アルコール依存症の治療に取り組む熊谷雅之・雁の巣病院長の講演会を開いた。熊谷氏は「原因は寂しさにあり、レッテルを張らず、症状のある職員と一緒に原因を考えることから始めて」と呼び掛けた。県警は、多量飲酒の傾向がある職員の把握など、再発防止策に取り組んでおり、専門医による講演会はその一環。各署長ら幹部のほか、知事部局などから計約170人が参加した。
熊谷氏は、アルコール依存症について「まじめな人がなりやすく、成人では全体の13%だが、公務員でみれば20%を超える」と指摘。「毎日、規則正しく飲む人は要チェック。酒臭や欠勤などのほか、物忘れや誤字脱字などが増えることなども兆候」と述べた。
上司の対応として「本人に代わって仕事するなど、穏便に済ませようとすれば、問題なく仕事が進むため、本人の依存症の自覚が遅れる」と説明。「根本原因を取り除くことが重要で、上司は対象職員と一緒に考えてほしい」と述べ、厳罰化では対応できないと強調した。
=2009/10/16付 西日本新聞朝刊=