泡瀬干潟埋め立て:2審も住民勝訴 事業費支出を差し止め

2009年10月15日 14時27分 更新:10月15日 14時56分

沖縄市の泡瀬干潟=本社機から2008年3月、矢頭智剛撮影
沖縄市の泡瀬干潟=本社機から2008年3月、矢頭智剛撮影

 沖縄市の泡瀬(あわせ)干潟埋め立て事業で貴重な自然が破壊されるとして、県民516人が沖縄県と市を相手に事業を巡る公金支出差し止めなどを求めた「泡瀬干潟埋め立て訴訟」の控訴審判決が15日午後、福岡高裁那覇支部であった。河辺義典裁判長は、県と市に事業費の支出を差し止めるよう命じた1審那覇地裁判決を支持し、県と市の控訴を棄却した。

 事業は、国と県が泡瀬沖200メートルの海域約187ヘクタールを埋め立て、県と市が約130ヘクタールを買い取ってホテルや観光商業施設などを誘致する。埋め立て事業費は約489億円。

 泡瀬干潟は約266ヘクタール。国の天然記念物4種を含む多くの希少生物が生息するが、事業で干潟の18%がなくなるとされる。反対派住民らは05年5月、自然を破壊するうえ、埋め立て後の土地需要予測もでたらめだとして、事業費の支出差し止めなどを求め提訴した。

 控訴審で、県や市は「事業見直しは行政の裁量の範囲内で、市長の見直し表明ですぐさま経済的合理性が否定されるわけではない」と主張。市は、市民参加の委員会や専門家による調査検討委員会を設置し、土地利用計画の見直しを進めている現状を説明した。

 原告側は「市長の事業見直し表明は土地利用計画の白紙化を意味し、事業完成後の観光客入域予想も根拠は不明だ」と主張した。

 沖縄市の東門美津子市長は07年12月、計画見直しを前提に1期工事(約96ヘクタール)推進と2期工事の大幅見直しを表明。現在、1期工事の外周護岸が完成している。08年11月の1審・那覇地裁判決は、07年12月に沖縄市長が事業見直しを表明した点を重視し、事業費の支出を差し止めるよう命じた。【三森輝久】

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