国の09年度補正予算に含まれる「地域医療再生臨時特例交付金」(3100億円)の減額を厚生労働省が示したことで、県は富士・東部医療圏で計画していた拠点病院の新設を断念する可能性が高まった。県は地域医療再生計画案を見直し、14日の県医療審議会で承認された。計画案は16日に厚労省に提出される。
同交付金は都道府県から提出された事業計画に基づいて国が分配する。全国で10事業に100億円ずつ、84事業に25億円ずつが交付される予定だった。しかし、長妻昭厚労相は9日、750億円の削減を発表。県によると、この削減で全94事業の交付額が25億円になる可能性が高い。
県は富士・東部と峡南の2医療圏を事業の対象にすることを9月9日に決定。医師不足が深刻な東部地域では、大月市立中央病院と都留市立病院を統合し、300床規模の拠点病院を新設する計画を進めていた。
しかし、交付額が25億円では病院の新設は困難。このため、25億円を前提に既存の病院を利用して地域医療再生を図る計画も新たに作り、病院を新設する100億円案と共に国に提出する。
小沼省二・県福祉保健部長は「地域の声を聞き、国には交付金をなるべく残してほしい」と話している。
峡南医療圏の再生計画案は、当初から25億円が前提。【小林悠太】
毎日新聞 2009年10月15日 地方版