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大分教員採用汚職

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  ◇「狭き門」不正に拍車

 現職の小学校校長や教頭、教育委員会幹部ら計5人が逮捕された大分県の教員採用汚職事件は、昇任試験でも金品のやりとりが明らかになった。県議を含めた複数の口利きルートの存在も浮上するなど、疑惑はさらに広がる様相だ。背景には、県教委の限られた職員に採用権限が集中する構造があり、他地域にも共通する問題点が見えてきた。

 「不正システムが常態化していた」。県教委参事の矢野哲郎容疑者(52)は再逮捕後、弁護士にそう語った。背景には、県教委参事の江藤勝由容疑者(52)が事件時に課長補佐として統括していた県教委義務教育課人事班に権限が集中していたことがある。

 人事班はたった5人で成績の集計から選考、採用後の配属先の起案など実務のすべてを任されていた。採用者名簿も作成し、上層部の決裁はあっても原本との照合はされない。資料は「10年保存」という内部規定に反して、毎年度末には廃棄されていた。

 不正を動機づける状況は、大分だけではない。他の九州各県でも、採用試験に関しては面接の一部を除いて、教委以外の県人事委員会や民間人は関与しない仕組みだ。試験資料も「保存1年」の自治体が多い。

 また、得点の本人開示について、文部科学省は毎日新聞の取材に「全都道府県と政令市は成績を本人に通知している」と回答しているが、実際には多くの自治体が受験者中のA~Cのランク付けだけを通知しているとみられる。

 過去には82年の福岡県大川市や90年の徳島、山口両県、06年の大阪府などでも教員の採用・昇任を巡る事件が起きている。

 さらに、教員人気による“狭き門”が「口利き」に拍車を掛けた。07、08年度とも11倍を超えた大分県の小学校教員採用試験では、臨時講師などを続けながら受験を繰り返す志望者が大半を占め、合格者の平均年齢は08年度で27・2歳。年齢制限の40歳直前まで受験する人も珍しくない。

 息子が臨時講師だった大分県の女性は数年前、現職教諭から「口利き」を誘われた。「1次試験は40万円、2次は120万円と言われたが、怖くなって断った」という。

 NPO法人「おおいた市民オンブズマン」には、今回のような教員の不正採用情報がこの10年で20件近く寄せられていた。「県教委幹部が身内4人の口利きをした」との情報もあり、昨年2月には県に調査を申し入れていた。しかし、自浄作用は働かなかった。

 県北部の小学校臨時講師の男性は、何度も試験を受けたが落ち続けている。「不正や口利きがあったのは許せない。今度こそ、きちんとした仕組みにしてほしい」と憤る。

 県中部の小学校に勤務する40代の男性教諭は、「子どもから『どういうことなの?』と聞かれてショックを受ける先生もいるようだ。混乱が続き、子どもたちも教員にもいいことはない。沈静化してほしい」と語った。  事件を受け、大分県教委は不正防止策をまとめた。

 人事班が行っていた試験成績の入力・集計作業を県人事委員会に移す。人事委は独自の整理番号で成績一覧表を作り、最終選考は県教育委員で構成する選考委員会が担当する。年度末で破棄していた答案用紙の保管期間も1年延長する。【小畑英介、金秀蓮】

 

◇地方ほど高倍率、年齢偏り「調整」

 教員採用試験の倍率は、地方と大都市部で大きな差がある状態だ。高倍率は地方に共通するが、大都市部では状況が一変し、東京都3・2倍、大阪府3・1倍などとなっている。大都市部では、児童・生徒の急増期に大量採用した教員が退職時期を迎え、教員を大量採用していることが背景にある。一方、地方は、40代後半~50代前半に年齢のピークがあり、採用者数も少なく、高倍率になる。

 この年齢構成は、教員採用試験の判定のあり方にも影響を与えている。試験では、資質や経験など点数化しにくい要素も重要な判定材料になる。近年、教員の年齢構成を考慮して採用を“調整”する教育委員会も少なくないという。

 文科省教職員課は「年齢構成がいびつにならないよう、年上を採る傾向はある。28~29歳にならないとなかなか採用されない地方もあるのが現状。不正を呼び込む土壌となりかねない」と指摘する。

 文科省は毎年の通知で「採用選考基準の公表に努めること」を求めているが、配点などの基準を公表している教委(07年度)は全64都道府県・政令市のうち20道県市。同課は「明確な基準がないから出せないのでは」と推測する。

 渡海紀三朗文科相は11日の会見で「試験の透明性は大きなポイント」と強調した。同課は大分県が再発防止策で導入した「整理番号式の集計」などの手法を全国に推奨していくことも検討するとし、「各地の教委と国が一体になって対策を進めなければ、信頼回復はできない」と危機感をあらわにする。【加藤隆寛】

 

■事件の概要

 

採用・昇進で金品、地縁巡り癒着も?

 事件は、08年度小学校教員採用試験で長男と長女を合格させるため、大分県の佐伯市立蒲江小学校長、浅利幾美被告(52)=贈賄罪で起訴=らが、県教委参事、江藤勝由容疑者(52)=収賄容疑で再逮捕=に現金など400万円を渡した。

 また、両者を仲介した県教委参事の矢野哲郎(52)と妻で同市立重岡小学校教頭の矢野かおる(50)両容疑者=贈賄容疑で再逮捕=も、07年度試験で長女の合格のため江藤容疑者と県教委審議監だった同県由布市教育長、二宮政人容疑者(61)に各100万円相当の金券を渡した。

 調べなどから、江藤容疑者は▽07、08年度採用試験(各41人採用)で35人以上の合格について口利きを受けた▽うち約15人は最大100点以上加点し合格させ、本来合格の10人を不合格とした▽二宮容疑者以外からも不正を指示され、それを示す複数の「口利きリスト」が押収された――ことが分かった。

 さらに▽参事昇進を巡り、哲郎容疑者が現職審議監に金券20万円を贈与▽校長や教頭の昇任試験を巡り佐伯市の小学校校長、教頭計3人が計110万円の金券を江藤容疑者に贈与▽県議も10人以上が両年度の口利きに関与▽中学、高校でも不正――も判明した。

 これら校長、教頭の計5人は佐伯市の小学校勤務。江藤容疑者は佐伯市の県教育事務所で、哲郎容疑者も同市教委で勤務経験があり、地縁による癒着も指摘されている。

 

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